「神々しい」とは?
「神々しい(神神しい)」は、(こうごう・しい)と読みます。(かみがみ・しい)と読まれることもありますが、それは誤りです。
とはいえ、源氏物語よりも前の時代には、(かみがみし)と読んでいた時期がありました。時代を下るにつれ、発音しやすいように音が変化して(かみがみし)が(こうごうしい)になりました。
「神々しい」は、神の存在を感じさせるような気高くおごそかなさま、清らかで神聖で尊いさま、を表します。注意すべきは、「神々しい」は、神そのものを表現する形容詞ではないことです。対象が神のごとき雰囲気をもつことを表しているにすぎません。
「神々しい」の使い方
宗教によっては、神は特定の名と姿をもつ唯一のものとして崇められますが、日本には八百万(やおよろず)の神、という、神道にも通じる古来の捉え方があります。八百万は具体的な数ではなく、きわめて数が多く多種多様であることを表す言葉です。
八百万の神は、神羅万象に神が宿るという日本古来の信仰です。こうした背景の影響なのか、「神々しい」は、人や物、光景などあらゆるものに対して使われます。
とはいえ、神を思わせるような神聖さ、清らかさ、厳かさをもつことを言うわけですから、使う機会は限られてくるでしょう。たとえば、日常的に用いられる「すごい」のような頻度では登場しません。
「神々しい」は形容詞として用いるほか、「神々しさ」という名詞形で使う場合もあります。
「神々しい」の例文
- 今年の元日は、富士山頂から神々しい初日の出を拝み、感動で震えた。
- 画家A氏の描く抽象画からは、神々しい光のようなものを感じる。
- どの宗教であれ、純粋に修行をきわめた人には神々しさが宿るものだ。
- 社会的な地位などなくとも、人のためにつくす人間の顔には神々しさがある。
「神々しい」の類語
「崇高」
「崇高」(すうこう)とは、尊く気高いこと、またそのさまのことです。たとえば、気高い精神性をそなえた人、荘厳な美しさをもつ自然などに相対したときに、抱いた感情やイメージを表すときに使います。
【例文】はじめてカイラス山を目にしたときには、その崇高さに身動きさえできなかった。
「気高い」
「気高い」(けだか・い)は、上品で尊く感じられるさまを表す言葉です。人や物、雰囲気、心のあり方などに対しても用いられます。
なお、「気高い」は、高貴なこと、身分が高いことを指す場合もあります。
【例文】彼は社会的地位こそ高くはなかったが、気高い心の持ち主だった。
「神々しい」の英語表現
上で説明したとおり、「神々しい」は、神のように清らかなことを表すだけで、神は比喩としての存在にすぎません。次に挙げるのは、神のようではあるが神自体ではないことを表す英語です。
- godly[神のような]:He is godly person.[彼は神のような人間だ。]
- awe-inspiring[畏怖の念を起こさせる、荘厳な]:Mt.Fuji is one of the most awe-inspiring mountains in Japan.[富士山は、日本のなかでもっとも荘厳な山のひとつだ。]
一方、神(天)のようなという意味を持ちながら、神(天)そのものという意味もある英語には、次のような言葉があります。
- divine[神の、神のような]:She has a sort of divine beauty.[彼女には、ある種の神々しい美しさがある。]
- celestial[天上界の、天国の、天界のごとくの]:What a celestial scenery here![ここは、なんて神々しい景色なんだ!]