「伝える」の意味とは?
「伝える」(つた-える)は、次のような行動や行為を表す言葉です。
- あるものを媒介として他方に移す(電気・音・熱・情報など)
- 言葉を使って相手方に知らせる
- 物事などを受け継ぎ次代に受け渡す
- 外部の土地から物事を持ち込む
なお、「伝わる」は、受ける側の状態を表します。したがって、その意味は、あるものを媒介として他に移る、言葉によって相手が知る、次世代に受け継がれる、外部から物事が持ち込まれる、などです。
「伝える」の使い方と例文
1.あるものを媒介として他方に移す
1の意味の「伝える」を電気・音・熱などの物理的な物に対して使う場合、何かを媒介として他の物や場所にそれらを移すことを表します。
【例文】
- 胴はよく熱を伝える性質があるので、鍋などにも使われている。
- 振動を伝えるものがない真空の状態では、音は全く聞こえない。
また、「伝える」を情報に対して用いる場合は、人や物を介して誰かに知らせるという意味になります。具体的には、相手が不在の場合に伝言を依頼する、理解や把握することが難しい内容を分かりやすく解説する、といったことです。
【例文】
- 恐れ入りますが、会議から戻られたらお電話いただきたいと、A様にお伝えください。
- その講師は、難解な専門書の内容をかみ砕いて伝えてくれた。
2.言葉を使って相手方に知らせる
2の「伝える」は、言葉を話したり書いたりすることにより、相手に用件や気持ちなどを知らせるときに使います。ここで言う「相手」とは、特定の人でも、不特定多数の人でも構いません。
【例文】
- 勇気を奮い起こして彼女を呼び出し、自分の思いを伝えることにした。
- システムに不具合が起こったので、上司に電話で様子を伝えて、指示を仰いだ。
- バレンタインのチョコレートにカードを添えて、自分の気持ちを彼に伝えた。
- テレビもニュースサイトも、その事故の模様を盛んに伝えていた。
3.受け継いで次代に受け渡す
3の「伝える」は、貴重品などの実在する物だけでなく、技術や知識などのように形では表せないものを受け継いで次代に受け渡す場合に使います。
【例文】
- わが家には先祖代々伝えられている絵巻物がある。
- 彼の成果を後の世の人に伝えるため、伝記をまとめた。
- 代々の師匠がそれぞれの弟子に芸を伝え、現在に至っている。
4.外部の土地から物事を持ち込む
たとえば、鉄砲や仏教などは、海外の人が日本に持ち込んだ物です。このように、別の場所から物事を持ち込むのが4の「伝える」です。製品だけでなく、文化や芸術、学問、技術、宗教など、様々な物事に対して使います。
【例文】
- 戦国時代に宣教師が来日して、キリスト教を伝えた。
- 外国出身者が振り袖に興味を持ち、母国に着物の文化を伝えたそうだ。
「伝える」の類語
ここでは、「伝える」の類語をそれぞれの意味に分けて紹介します。
類語:1の意味・言付ける/託ける
「言付ける/託ける」(ことづける)とは、第三者に頼んで用件などを相手に知らせてもらうことです。1の意味のうち、人を介して伝えることとよく似ていますね。なお、「言付ける」は、代理で品物を届けてもらう時にも使います。
【例文】
- 社長の秘書に成果の報告を言付けたところ、快く引き受けてくれた。
- 相手が不在だったので、電話口の人に面談の日時を変更してほしいと託けた。
類語:2の意味:連絡する
「連絡(れんらく)する」の意味のうち、情報や意思などを相手に知らせること、(互いに)知らせ合うことは、2の意味と似ています。
しかし、「伝える」は発信者側の行為を表すので、「知らせ合う」という意味はありません。「知らせ合う」ことを表すならば、「伝え合う」とすると良いでしょう。
【例文】
- 友人にアイドルのコンサートの日程が決まったことを連絡した。
- 恐れ入ります。至急Aさんと直接連絡を取りたいのですが、何時にお戻りでしょうか?
類語:3の意味:リレー
「リレー(英語:Relay)」という言葉は、運動会でおなじみの、走者がバトンを受け渡していく「リレー競走」などでお馴染みでしょう。
「リレー」には複数の意味がありますが、その中の、順々に次の人に渡していくことは、3の「伝える」に少し似ています。ただし、知識や技能を次世代に受け継ぐといった場合には使いません。
【例文】
- 今日のプロ野球は、BSと地上波のリレー中継だ。
- 隣家で火災があった時は、近所の人がバケツリレーをして消し止めた。
類語:4の意味:齎す
「齎す」(もたら-す)は、持ってくるや、持っていくという意味などがあります。「伝える」の4の意味に近いですが、多くの場合、「齎す」は抽象的で実際の形が見えない物事について使われます。
なお、「齎す」を、災害などの悪い状況が引き起こされる意味でも使用する場合があり、前後の文脈に注意する必要があるでしょう。
【例文】
- 海外の文化を国内に齎すことで、面白い物が流行る場合がある。
- 戦国時代の鉄砲の伝来は、新たな戦の仕方を齎した。