「見出す」の意味
「見出す」の意味は読み方により異なります。読み方は以下の2通りです。
- みいだす
- みだす
「みいだす」とは「（これまで隠れていたものを）見つけ出す」ことです。「見る」の連用形と、ある動作によって結果が明らかになるという意味を添える補助動詞「いだす」が接続しています。
「みだす」は「～を見はじめる」という意味です。「見る」の連用形と、動作の開始を表す接尾語「だす」が接続しています。
「見出す」の使い方
「見出す」はいずれも動詞なので、「みいだす」でも「みだす」でも文章構成に差がありません。そのため、文脈から意味をくみ取る必要があります。
「見出す（みいだす）」の例文
- 私と彼とでは、教育に対する考え方が異なるので、お互いの妥協点を見出す必要がありそうだ。
- 大リーグでスターとなったAさんは、中学生のときに逸材として監督に見出された。
- クラシック音楽に癒しを見出した私は、暇さえあればクラシックを聴くようになった。
- 孫の成長に生きがいを見出した父は、長生きのために健康に気を配るようになった。
「見出す（みだす）」の例文
- 授業中に生徒が携帯を見出したので、注意したうえで没収した。
- 目を離すとすぐに子供がテレビを見出すので、勉強に集中させるためにテレビを撤収した。
- 飼い犬がエサ入れの方を見出したので、少し早いがエサをあげることにした。
「見出す（みいだす）」の類語
「発見する」
「発見」は「まだ知られていなかったものを初めて見つけ出すこと」です。「見出す」とほぼ同じ意味ですが、「発見」は「初めて」を強調する際に使うことが多いようです。新大陸発見、新型ウイルスの発見、のような用例からも察せられるでしょう。
【例文】
- 祖母の家を片付けていたところ、高価そうな絵皿を発見した。
- 友達と旅行に出掛けると、彼らの新しい一面を発見することがある。
「発掘する」
「発掘」には、もともとの意味である「土の中に埋もれたものを掘り出すこと」から転じて、「人に知られていない優れた物や人をさがし出すこと」という意味もあります。「見出す」に近いのは後者です。
後者の「発掘」は、人に対して用いられることがほとんどで、多数の人の中から価値ある人を探し当てたという含みがあります。
【例文】
- わが社の成長のためには、社員を募集して優れた人材を発掘する必要がある。
- 去年スカウトマンに発掘された選手が、今年に入って大活躍を見せている。
「見出す（みだす）」の類語
上で説明したように、「見出す（みだす）」は「見はじめる」ことです。そのため、以下のような「見る」に類する言葉を「はじめる」と合わせた言葉が、「見出す」の類語になり得ます。
「観賞する／鑑賞する」
「観賞」は「見て楽しむこと」で、自然の景色や物などのありのままの姿を見る場合に使います。一方、「鑑賞」は「芸術性のあるものを見る・聞く・読むことで趣を味わうこと」です。
【例文】
- 植物マニアの父は、一緒に山歩きをしていても珍しい植物があると足を止めて観賞しはじめる。
- 休日に、自宅で映画を鑑賞しはじめたところに仕事の電話が掛かってきた。
「注目する」
「注目」には、関心・意識を集中することという意味もありますが、「注意してよく見る」という意味もあります。「見出す」には注意するという含みはありませんが、見るという点では「注目しはじめる」で置き換えられるシーンもあるでしょう。
【例文】
- 愛猫が何もない部屋の角に注目しはじめた。
- バスの中で口論していた男達は、ほかの乗客が注目しはじめると口をつぐんだ。
「見出す」が正解で、「見い出す」は間違い？
「みいだす」を辞書で引くと「見出す」と書かれています。にもかかわらず、最近テレビや新聞で「見い出す」という表記を見かけませんか？「見い出す」と書く人が増えたのは、言い出す・思い出すのような言葉と混同しているせいかもしれません。
言い出す・思い出すの「い」は、「言い（言う）」「思い（思う）」という動詞の一部です。一方、「みいだす」の「い」は「出す（いだ-す）」の一部ですから、性質が異なります。よって、「見い出す」は間違いです。
しかし、「出す（いだ-す）」の読み方は常用漢字表に記載されていないため、NHKの放送では「見いだす」または「みいだす」の表記が使われています。