「類は友を呼ぶ」の由来
「類は友を呼ぶ」。若者を中心に「類友(るいとも)」と略されて使われるぐらいポピュラーなことわざですが、この言葉が生まれたのはいつごろでしょうか?
「類は友を呼ぶ」の起源は、今から3500年近く前、中国の周時代(紀元前1046年頃~紀元前256年)に成立した『易経』中の一篇「繋辞伝」までさかのぼります。この「繋辞伝」のなかに「方は類を以て聚(あつ)まり、物は群を以って分かれ、吉凶を生ず」という言葉があるのです。
『易経』とは現在も受け継がれている易占、つまり占いの本です。「方は類を以て聚(あつ)まり、物は群を以って分かれ、吉凶を生ず」とは、簡単にいうと「善人は善人同士、悪人は悪人同士、自然と寄り集まるのと同様の形で、吉凶も卦に現れる」ぐらいの意味合いです。良いにしろ悪いにしろ、似た性質のものが集まると説かれていたわけですね。
ちなみに日本では、同様のことわざが江戸時代からあったそうですが、「類は友を呼ぶ」の表現でことわざとなったのは、明治以後だそうです。意外に新しく生まれたことわざなんですね。
「類は友を呼ぶ」の意味
「類は友を呼ぶ」が示す意味は、だいたい以下の通りです。
- 気の合う者や似たも同士は自然に集まる
- 志が同じ者はお互いを引き寄せる
例えば友達同士、特に親友と呼べるほど仲がいいと、好みやセンスがまるで兄弟姉妹のように似ていたりしますよね。お互いに感化されたという側面もあるでしょうが、似たもの同士だから親友になれたともいえるでしょう。
ある会社の社員は、他社の人から見ると、みんな似ているように感じられるそうです。サービス業に従事している人が同業者に出会うと、雰囲気ですぐに気づくこともあるようで、これもまた、よく似たタイプの人が同じ職業を選んだ結果かもしれません。
また、趣味などで同好の士が集まると、考え方や気質を含め、「類は友を呼ぶ」だなあと思うことがままあるものです。
「引き寄せの法則」との関連性
「引き寄せの法則」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 関連書がベストセラーになるなど、国内外で話題になったこの法則は、「世の中は波長の合うもの同士がひかれあい、引き寄せあうものだ」という理屈に基づいています。
「引き寄せの法則」においては、「幸せな気持ちでいるとさらに幸せなことが起きる」とか、「良くない考え方をしたり、 ”ついてないな……” などとネガティブな気持ちでいると、それに見合った悪い出来事が起きる」と言われています。だからこそポジティブに生きようというのですが、ある意味ではこれも「類は友を呼ぶ」に似た現象といえるかもしれません。
ところで、なぜ似たもの同士が引き寄せられるかというと、そこには科学的な根拠があるのだとする説もあります。テレビやラジオが周波数を合わせると視聴できるように、人間が持つ波動(周波数)も、共鳴すると引き寄せ合う、というのです。
信じるか信じないかはあなた次第といったところですが、仮にそれが事実なら、「類は友を呼ぶ」も科学的現象といってよいかもしれませんね。
「類は友を呼ぶ」の用法
以下は「類は友を呼ぶ」の使用例です。
- うちの社員は休みの日にもよく一緒にいる。「類は友を呼ぶ」というべきか、みんな趣味や好みが似ているんだよ。
- 「類は友を呼ぶ」で、彼の友達はだいたい理数系が得意だ。
- ガラの悪い客が店に来るようになって以来、いつのまにか同じような客が増えてしまった。まったく「類は友を呼ぶ」だな。
気をつけなくてはいけないのは、三つ目の例のように、「類」が「友」を読んだ結果、良くない状況が生じるケースもあることです。良い「友」が集まれば素晴らしいですが、悪い「友」となると……。こちらには「朱に交われば赤くなる」という便利なことわざも用意されています。
あなたの周りはいかがでしょう?「類」は良い「友」を呼んでいますか?