意味と由来
①キリスト教の聖典
まず一つは、キリスト教の聖典である聖書のことで、英語で聖書を表す” Bible” のカタカナ表記です。所説ありますが、Bible はギリシャ語のbiblos 「(紙の原料の) パピルス」に由来する言葉で、書物を意味する言葉だったといわれています。英語では「 the (または a ) Bible」 もしくは「the Book」と表記します。
She carries a Bible with her all the time. (彼女は常にバイブル(聖書)を持ち歩いています。)
②権威ある書物、必読書
もう一つは、聖典である聖書から転じて、その分野で権威のある書物、必読書という意味です。カタカナでバイブルと表記した場合は、こちらの意味の場合が多いようです。「この本が私の人生のバイブルです。」という場合、その本に多大な影響を受け、また今も受け続けているということです。英語では the bible (最初のbを小文字にしたbible)と表記して、聖典である聖書と区別します。
His book became the bible of rock-climbers. (彼の著書はロッククライマーたちのバイブル(必読書)となった。)
類語、同義語
著名人たちのバイブル
孫正義(ソフトバンク株式会社 代表取締役社長)「竜馬がゆく」司馬遼太郎
ですが、孫正義氏の場合は同書を一般的な「愛読書」ではなく人生の「バイブル」と言い切れる、凄まじいエピソードがあります。なんと同書を読んで目からうろこが落ち、15歳で学校も家族も放り出してアメリカへ行ってしまったのだそうです。IT時代のパイオニアは、幕末の志士に自らを重ねたのかもしれませんね。
エイブラハム リンカーン(第16代アメリカ合衆国大統領)「聖書」
アメリカの5ドル紙幣の肖像画にもなっているエイブラハム リンカーン。実は非常に貧しい農家に生まれ、幼少期には教育を受ける機会にもなかなか恵まれなかったのでした。
しかし、幼少期に母が読み聞かせた聖書を通して教育と信仰を得たのです。まさに「聖書」を人生の「バイブル」とし、幾多の失敗や失意にくじけることなく、独学で弁護士となり、その後には落選を経験しながらも下院議員に当選、最後にはアメリカ合衆国第16代大統領にまで上り詰め、「奴隷解放の父」としてその名を歴史に残したのでした。実際に彼の大統領としてのスピーチは、聖書からの引用がほとんどだったそうです。