「肝に銘じる」とは?
「肝に銘じる(きもにめいじる)」とは、「心にしっかりと刻みつける」「心に強くきざみつけて忘れない」という意味のことわざです。「肝」は「胆」、「銘じる」は「銘ずる」とも書きます。
「肝」は、五臓の一つである「肝臓、きも」とは別に、むかし魂が宿るところとされていたことから「精神の働き場としてのきも」、つまり「心」という意味があります。また「銘じる」は、「書きつける。金属や石などに刻みつける」「心に深く刻みつける」という意味を持ちます。
この二つの言葉が組み合わさり、「肝に銘じる」は、「心の芯の部分に深く刻みつけて忘れないようにする」ことを表しています。なお、「命じる(命ずる)」とすると誤りになりますので注意が必要です。
「肝に銘じる」の使い方
- これからは先生からもらった忠告を肝に銘じて行動するようにしよう。
- 今日起こしてしまったミスをもう二度と起こさないよう、どんなに忙しくとも再度確認することを肝に銘じる。
- 今から話すことはとても大切なことなので肝に銘じておくように。
- 更なるサービスの発展のため、ご指摘いただいた改善点については肝に銘じ、より一層努力致します。
「肝に銘じる」の類語
「骨に刻む」
「骨に刻む(ほねにきざむ)」とは、「深く心にとどめて忘れないようにする」という意味を持つ言葉です。「刻む」は、「心にしっかりと記憶する」ことを表しています。同様の意味の言葉に「心に刻む」「胸に刻む」があります。
「骨身(ほねみ)を削る」という言葉と混同して「骨身に刻む」とすると、誤った言葉になりますので気をつけましょう。
【例文】
恩師の言葉を胸に刻んで、研究に励んだ。
「留意する」
「留意する」とは、「ある物事に心をとどめて、気をつけること」という意味の言葉です。「心にとめておくべき点、事柄」を「留意点」と言います。
【例文】
- 本商品を使用される際にはくれぐれも以下の点にご留意ください。
- 今回の計画に関する留意点を述べますので、注意してお聞きください。
- もう若くないので健康にはより一層留意しなければならない。
「肝」を使った表現
「肝が据わる」
「肝が据わる(きもがすわる)」とは、「落ち着いていて、めったなことでは動揺しない」という意味のことわざです。「肝が座る」と書くと間違いになります。
「肝」は「胆力」のことで、「事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力」を意味します。「据わる」は、「どっしりと落ち着いていて、ものに動じない」ということを意味しています。
「肝が据わる」の類語に「腹が据わる」「度胸が据わる」があります。また覚悟を決めることを「肝を据える」と言います。
【例文】
- 彼女はとても肝が据わっているので、人前に立っても堂々と自分の意見を述べられる。
- 自分にはもう失うものがないと思ったらとたんに肝が据わった。
「肝を潰す」
「肝を潰す(きもをつぶす)」とは、「非常に驚く。びっくり仰天する」という意味を持つ言葉です。度胸が宿るところとされる「肝」が潰れると、そこに居座る胆力も動転することからきています。
「肝がつぶれる」「肝をつぶす」とも表現します。しかし、「映画の完成度に肝をつぶした」という風に良い事に驚く場合には使われません。
「肝を潰す」と同様の意味で「肝を消す」という言葉があります。また、似たような言葉で「肝を砕く」もありますが、こちらは「あれこれと思い悩む」という意味になります。
【例文】
高級レストランで飲食した後、請求書を見てあまりの高額な料金に肝を潰した。