「小耳に挟む」の意味
「小耳に挟む」(こみみにはさむ)とは、「会話の一部などを、聞くともなしに耳にする。偶然にちらりと聞く。」という意味の言葉です。
「小耳」とは
「小耳」とは、「耳。また、ちょっと耳にすること。ちらりと聞くこと。」という意味の言葉です。「挟む」がなくても、「小耳」そのものに「聞く」という意味が含まれているわけですね。
「小」とは
接頭語としての「小」(こ)は、使い方に応じて以下のような意味を持ちます。
- (名詞に付いて)小さい、細かいなど。
- (名詞に付いて)わずかな、少しの、など。
- (数量を表す名詞や数詞に付いて)わずかに及ばないが、その数量に近いこと。ほぼ。だいたい。約。
- (動詞・形容詞・形容動詞などに付いて)すこし、なんとなく、など。
- (名詞や用言などに付いて)軽んじたり、ややばかにしたりする。
「小耳に挟む」の「小」は、このうち4の「少し、ちょっと、なんとなく」という意味で使われています。
「挟む」とは
「挟む」には以下の5つの意味があります。
- 物を両側から押さえつける。また、二本の棒などで押さえて持つ。
- ある物の間やすき間に物を入れる。
- ある物を間に置いて位置する。
- ある動作の途中に他のことをわりこませる。
- (「耳にはさむ」の形で)聞き込む。
「小耳に挟む」の場合は5の意味で使われています。
「小耳に挟む」の使い方
「小耳に挟む」は、話を聞こうと意識して聞いたわけではなく、何気なく耳に入ってきた場合に使われる表現です。話を聞く前から聞こうと意図している場合や、じっくりと話を聞いたような場合には使われません。
「小耳に挟む」の例文
- 丘の上に立つ屋敷について妙な話を小耳に挟んだ。
- 小耳に挟んだ話では、今年の会社の業績は良くないらしい。
- 駅前にできた新しいカフェのケーキが美味しいらしいと小耳に挟んだ。
文学作品に登場する「小耳に挟む」
ー徳田 秋声(とくだ しゅうせい)『黴(かび)』ー
「これはいかん」と、あわてたものとみえ、旗を取って面を包み、無二、無三、鞭を打った。」
ー吉川英治『三国志』ー
「小耳に挟む」の類語
「小耳に挟む」の類語には次のような言葉があります。いずれも「聞くつもりはなかったが、人からちらっと聞く」という意味合いの強い言葉です。
- 仄聞(そくぶん)する:少し耳にはいること。人づてやうわさなどで聞くこと。
- 又聞きする:伝え聞くこと。間接的に聞くこと。
- 漏れ聞く:ひそかに聞く。うわさや人づてに聞く。
- 聞き齧(かじ)る:物事の一部分、またはうわべだけを聞いて知る。ちょっと聞いただけの知識を持つ。
「小耳に挟む」の英語表現
「小耳に挟む」の英語表現には次のような言葉があります。いずれも、「偶然、他の人の話していることが聞こえること」という意味合いが強い表現です。
overhear
“overhear”は、「ふと耳にする、ふと聞く」という意味の動詞です。
【例文】
- I overheard their discussing the matter.(彼らが問題について議論しているのをふと耳にした。)
happen to hear
“happen to hear”は、「小耳に挟む、耳に入る」という意味の表現です。
【例文】
- I happened to hear that he was planning to move.(彼が引越しを計画していると小耳に挟んだ。)