「ドヤラー」の意味とは
「ドヤラー」の意味は、Wi-Fi環境が整ったカフェなどでノートパソコンを使い、得意げな顔つきで仕事をしている様子のことです。インターネットの掲示板やSNSで使われるネットスラングで、若い世代を中心に知られています。
(※Wi-Fiとは、無線で通信を行う規格のことです)
「ドヤラー」の語源
「ドヤラー」は「ドヤ」と「ラー」のふたつの言葉が組み合わさった造語です。「ドヤ」は「どうだ」と言わんばかりの得意げな顔つきのことです。「ドヤ顔」といった形でも使われます。関西地方の「どや」(意味:どうだ)から来ていて、2000年代に全国的に定着しました。
「ラー」は英語から来ており、もともとは語尾に"er"をつけて「~をする人」という意味です。例えば、車などの販売店を表す「ディーラー(dealer)」、ゲームの愛好家をいう「ゲーマー(gamer)」があげられます。
日本語で「ラー」が付いた造語には、マヨネーズが好きな人を表す「マヨラー」、歌手の安室奈美恵さんに憧れて似た格好をする「アムラー」などの例がありますね。「ドヤラー」の場合は「得意げにパソコンを使う人」といった意味合いです。
「ドヤラー」の変遷
「ドヤラー」が使われ始めた当初は、コーヒーチェーン店のスターバックス・コーヒー(略称:スタバ)で、apple社のノートパソコン"MacBook Air"(略称:MBA)を持ち込み、得意そうな表情で操作している行為を指しました。
"MacBook Air"は薄型のノートパソコンです。頑丈なアルミのボディで幅を取らず、洗練されたデザインで人気があります。アメリカ企業の「スタバ」も日本に入ってきた当初は、おしゃれな流行り物を好む若者を中心に注目されました。
この"MacBook Air"をファッションアイテムの一つとして持ち歩き、おしゃれな場である「スタバ」でこれ見よがしに使う人もいたようです。これが「ドヤラー」の起源と考えられています。
近年では、他社のノートパソコンを使ったり、別のカフェや喫茶店、コーヒーチェーン店に持ち込んだりする場合でも「ドヤラー」と言うようになっています。
「ドヤラー」の使い方
「ドヤラー」は、基本的には、自分や他の人がカフェで飲食しながらパソコンで仕事をしている時に使われます。近頃は、小型のノートパソコンやタブレットを仕事で持ち歩きする人が多く見られますね。
「ドヤラー」の使い方は多様化しており、近年では「得意げな様子」はパソコンを使う状況にとどまらなくなっています。
さまざまな使い方
記事執筆現在、自分のことを「ドヤラー」と使う場合、自虐的に「(残業などの)時間外の仕事をカフェなどで(得意げに、功労をアピールしつつ)行う」といった意味で使うこともあります。
さらに、カフェ以外でも、「職場にとらわれず、飲食をしながら自由に仕事をする」といった状況を「ドヤラー」という言葉で演出する場合もあります。また、時代の先端を行く有能な雰囲気を醸し出したりするように使う例も増えています。
特にSNSでは「ドヤラー」とタグ付けして、ノートパソコンと一緒に美味しそうなカフェの飲み物や軽食の画像を載せる例もあります。美味しくておしゃれな飲み物や料理、お菓子を意気揚々と紹介する書き込みも目立ちます。
「ドヤラー」の例文
- 結局仕事を持ち帰って、カフェで残業した。「ドヤラー」みたいなことをしちゃったよ。
- ティータイムの時に、ドヤラーがコーヒー一杯で長時間粘ると迷惑に思われるだろうね。
- カフェで限定のお菓子とコーヒーを頼んだよ。パソコンと一緒に写真を撮って「ドヤラー」とタグを入れてアップしたんだ。「イイね」いっぱいもらえるかな?
「ドヤラー」の類語:ノマドワーカー
「ノマドワーカー」とは新しい働き方を表す言葉で、一般的な事務所などの限られた仕事場にとらわれず、様々な場所でスマートフォンやパソコン、タブレット等のデジタル機器を持ち歩いて仕事をする人のことをいいます。
「ノマド」(英語表記:nomad)は遊牧民族という意味で、1つの場所にこだわることなく業務に励むことを表します。「ワーカー」(英語表記:worker)は働く人のことです。
近年はWi-Fiやテザリング機能などにより、インターネットが利用できる場所ならどこでも通信機器を使った仕事が可能になりました。飲食店や公共施設では無料のWi-Fiを使える所も多く、仕事目的の利用者も増えています。「ドヤラー」は「ノマドワーカー」の一種と言えますね。
「ノマドワーカー」の例文
- Wi-Fiフリーの駅前のカフェでは、ノマドワーカーが多い印象だ。
- 最寄りの喫茶店では昼ごはんを食べられないという苦情を受けて、ランチタイムのノマドワーカーの利用を断っているそうだ。