「真っ当」とは?
「真っ当」は、(まっとう)と読みます。漢字表記は、元々「全う」であり、「真っ当」は当て字です。「まっとう」と平仮名で記すことも多々あります。
「真っ当」と「全う」は、基本的に同じ意味を持ちますが、言い回しによっては異なる意味も生じます。共通する基本的な意味は、「まともなさま。まじめなさま。しっかりとしているさま」です。
「全う」は、「全うする」という言い回しで、「物事を最後までやり通す」という意味になります。「真っ当する」とは書きません。ここが2つの漢字による「まっとう」の最も大きな違いとなります。
「真っ当」の使い方
「真っ当」は、「まともな」「まじめな」「しっかりとしている」というように、人間の性質にかかわる言葉です。したがって、「真っ当」の対象となるものは、すべて人間か、人間の行為やその結果などになります。
たとえば、「真っ当な人間」「真っ当な人格」などや、「真っ当な人生」「真っ当な考え」「真っ当な意見」「真っ当な計画」「真っ当なプロジェクト」「真っ当な国」などです。
しかし、「真っ当なビル」という言い回しは不自然です。なぜなら、ビルそのものと「真っ当」とは無関係だからです。この例で言うなら、「真っ当」と言えるのは、ビルの建築工法や技術であって、「真っ当な工法で建てられたビル」であれば、正しい使い方となります。
「真っ当」の文例
- 山田君は、真面目で正義感が強く、いたって真っ当な人間だ。
- ずいぶん遊びあるいてしまったが、人間として真っ当な生き方をしたいと思うようになった。
- 権力欲からではなく、真にこの国を良い国にするために真っ当な政治家が生まれてほしい。
- 君が提案するプロジェクトは、我が社の発展にとって真っ当なものだと思う。
「全う」の使い方
もうひとつの「まっとう」である「全う」は、上述したように「全うする」という言い回しになるとき、「真っ当」にはない意味で用いられます。
ポイントは、主語になるものがほぼ「人間(まれに動物も含む)」であることです。「職務を全うする」「使命を全うする」「任務を全うする」「刑期を全うする」「寿命を全うする」など、「課せられたものなどを最後まで完全にやりきる」という使い方をします。
上の例を見ると、もう一つの使い方のポイントが見えてきます。それは、人生や仕事などの大きな枠で使うこと。つまり、「宿題を全うする」とか、「今日の家事を全うする」などという使い方は適切ではありません。
「全う」の文例
- 鈴木部長は、新商品のプロモーションという職務を全うし、利益に貢献した。
- アポロ11号の宇宙飛行士たちは、月面着陸におけるそれぞれの使命を全うした。
- 飼い猫のミミは17年を生き、その寿命を全うして天に召された。
- 恩師の田中先生は、百歳という天寿を全うされた。
「真っ当」の類語
「真面目」の意味と使い方
「真面目」は、(まじめ)と読みます。誰にでも馴染みある言葉ですね。意味は次のとおりです。①いいかげんさがなく、真剣・本気であること。②真心や誠実さがあること。誠意がこもっていること。またそのさま。
「真っ当」は、「真っ当な計画」など、人間が手掛けるものに使われることもありますが、「真面目」も、「真面目な漫画」などのように使われることがあります。
「文例」
- 真里さんは、ご両親が教師だけあって、いたって真面目な女性だ。
- 真面目なドラマや映画、小説などは、時に芸術作品として面白みに欠けるものもある。
「公明正大」の意味と使い方
「公明正大」は、(こうめいせいだい)と読みます。私心がなく、公平で、正しいこと、またそのさまを意味する言葉です。
「文例」
- 中村氏のような公明正大な人物にこそ、政治家になってほしいと思う。
- あの審判のジャジは、一方に偏っているようで公明正大とは言い難い。