「立ち行かない」とは
「立ち行かない(たちゆかない)」とは、「生活や仕事などの物事がうまく成り立たない。継続することがむずかしい」という意味を持った言葉です。動詞「立ち行く」の未然形「立ち行か」に打ち消しの助動詞「ない」がついた形です。
「立ち行く」は、「立ち行かない」という否定形でよく使われます。
「立ち行かない」の意味
「立ち行く」には、次のような意味があります。
- 事業や暮らしが成り立ってゆく。(例:「不景気で店が立ち行かない」 「生活が立ち行かない」など)
- 時が過ぎてゆく。経過する。(例:「立ち行く年」など)
- 旅立つ。出発する。
2や3の意味は、古典などではよく見られますが、現代では1の意味で使われることが多いです。
「立ち行かない」使い方
- 新卒採用されて喜んでいたけど、給料の手取りがこんなに少なくては生活が立ち行かいないよ。
- 長年地元で商売をしてきたが、長引く不況で客足がじり貧になり、このままでは商売が立ち行かない。
- 友人は、共稼ぎでいくら頑張っても夫のギャンブル癖のせいで暮らしが立ち行かないと言って、とうとう離婚してしまった。
- 檀家(だんか)の減少に加えて、家族葬や直葬など、葬儀に対する考えが変化してきて、この先立ち行かなくなるお寺が増えそうだ。
- 安い輸入品に押されて国産品が売れず、このままだと国内産業が立ち行かなくなってしまう。
「立ち行かない」の類語
「破綻する」
「破綻(はたん)する」には、「物事が、修復しようがないほど行きづまる。成り立たなくなる」という意味があります。その意味で、「立ち行かない」の類義語と言えます。
「やぶれる。こわれる」という意味の「破」と「ほころびる」という意味の「綻」からなっている熟語です。
【例文】
- ワンマン社長の放漫経営で、わが社は経営が破綻する一歩手前の状態にある。
- すれ違いの生活が続いて、二人の結婚生活は2年で破綻を迎えた。
「行き詰まる」
「行き詰まる(ゆきづまる・いきづまる)」とは、①「途中で道がなくなり、先へ進めなくなる」、②「障害があって、物事が進展しなくなる」という意味があります。前に進めないという点で「立ち行かない」の類語と言えるでしょう。
【例文】
- 重要な目撃者が失踪して、捜査が行き詰まってしまった。
- 執筆中の原稿が行き詰まり、締め切りに間に合わなかった。
「手詰まり」
「手詰まり(てづまり)」とは、①「打つべき手段や方法がなくなってこまる」、②「お金のやりくりができなくなる。手もとが苦しい」ことを意味します。
【例文】
- 自治体の予算のやりくりができず、新しい病院建設の計画が手詰まり状態でストップしている。
- 殺人事件の物証が乏しく、捜査が手詰まりになっている。
また「手詰まり」は、将棋や囲碁で「局面を打開する有効な指し手がないこと」を言います。そこから転じて、証券用語でも「相場が沈滞していて新しい材料がないために、売買が手控えられている状況」を指して「手詰まり」と言います。ニュースなどで「手詰まり感」という言葉がよく聞かれます。
【例文】
- 今年の名人戦第1局は、中盤から両者手詰まり状態で、盤面の動きがにぶい。
- 今は材料が少なく手詰まり感のある相場だ。なにか相場が動くきっかけが必要だ。
「暗礁に乗り上げる」
「暗礁(あんしょう)に乗り上げる」とは、船が暗礁(海面の下に隠れて見えない岩)に乗り上げて動けなくなることから、「予想外の障害が発生して物事の進行が妨げられる」ことを意味します。
【例文】
- 紛争中のAB両国の和平交渉が暗礁に乗り上げていると、今日の国際面で大きく伝えている。
- 新しいプロジェクトの計画がほぼ完成したのに、資金面で暗礁に乗り上げてしまった。