「見紛う」とは?
「見紛う」(みまがう・みまごう)とは、「見間違える、見誤る」という意味の言葉です。
読み方はどちらかと言えば「みまがう」が一般的ですが、「みまごう」も誤りではありません。「Aと見紛うB」のように、体言(名詞など)が後ろに続く場合は「みまごう」と読まれることが多いようですが、これといって決まりはありません。
なお、「紛」の字を「粉」(こな)と間違えないようにご注意ください。
「紛う」の意味・字義
「紛う」(まが-う、まご-う)の意味は、以下の3つです。
- 入り乱れる、まざって区別がつかなくなる。
- 見分けがつかないほどによく似ている。まちがえる。
- 見誤ってわからなくなる。
「見紛う」という場合の「紛う」は、上記のうち2の意味に注目しましょう。「見る」「紛う」と分けて考えれば意味がよりつかみやすくなるかもしれません。
「紛」(フン)の字は、「糸が分かれる」により、糸がばらばらに分かれてみだれる意味を表します。「紛失」(ふんしつ:物がまぎれてなくなる)、「紛糾」(ふんきゅう:物事がもつれ乱れる)などの熟語が知られています。
「見紛う」の使い方・例文
肯定文では「錯誤」を表す
「見紛う」という言葉は、肯定文では「Aと見紛うB」のように、「何かを何かと見間違える」という文脈で使います。
あるものとあるものを見比べて、それらの見た目や性質がとてもよく似ているために、「同じものに見える」「同じものに喩(たと)えられる」というニュアンスで使うのがポイントです。
この場合、AとBは実際には違うものである、すなわち事実上は「錯誤」について述べていることに留意しましょう。ただし「錯誤」は「類似」について言及する機会でもあるため、「見紛う」は文語的には「物の喩え」としてしばしばみられる表現です。
【例文】
- 夏祭りのクライマックス、大型の花火が打ちあがった夜空は、昼と見紛う明るさになった。
- その青年は、少女かと見紛うほど無垢で整った顔立ちで、いつも多くの目を引いた。
- あの丘の上には、軍の要塞と見紛うような荘厳な邸宅が建っています。
否定文では「同一性」や「自明性」を表す
「見紛う」を「見紛うことなき〇〇」などの否定形で用いる場合、「錯誤」の機会は否定され、あるひとつのものの「同一性」や「自明性(それ自身がそれ自身を証明するもの)」を言及する意味となります。
この場合、基本的には比較対象を必要とせず、「まさにそれそのものだ」「他のものであるはずがない」というニュアンスで使いましょう。「紛れもない〇〇」「正真正銘の〇〇」と言う場合と同じ意味です。
【例文】
- その顔、その仕草、その言葉遣い。もう10年も会っていなかったが、それは見紛うことなき私の親友のカズヤだった。
- ここまで明白な実験結果が出ているのなら、たとえ小学生でも真実を見紛うことはないだろう。
「見紛う」を英語で言うと?
「見紛う」を英語で言いたい場合、以下のような表現を使いましょう。
- mistake A for B(AをBと間違える)
- A is almost like as B(AはほとんどBに近いものだ)
- unmistakable(紛れもない、明白な)※自明なものについて使う
例文
- People might mistake you for a girl if they see the way you dress.(君の服装を見れば、人は君を女の子と見紛うかもしれない)
- The way she stood was almost like as a masterpiece painting.(彼女の立ち姿は一枚の名画と見紛うほどだった)
- The jewel was once in my possession. There's no way I'm unmistakable.(その宝石はかつて私が持っていたものだ。私が見紛うはずがない)