「奢侈を尽くす」とは?意味や使い方をご紹介

「奢侈を尽くす」という言葉をご存知でしょうか?日常生活ではまず使うことのない言い回しですから、意味はおろか読み方もあやしい、という人も多いでしょう。今回は、「奢侈を尽くす」という言葉の意味や使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「奢侈を尽くす」とは?
  2. 「奢侈」の字義
  3. 「奢侈を尽くす」の使い方
  4. 「奢侈を尽くす」の類語
  5. 「奢侈」の対義語
  6. 「奢侈を尽くす」まとめ

「奢侈を尽くす」とは?

「奢侈を尽くす」は、「しゃしをつくす」と読みます。身の丈を超えた贅沢をしつくすことを意味する言葉です。

「奢侈」は、あまり日常で耳にする機会もない言葉ですが、「度を過ぎて贅沢なこと」「身分不相応に金を費やすこと、またはそのさま」を意味します。

「尽くす」は、下のように多くの意味を持つ言葉です。「奢侈を尽くす」という言葉の中では、下の2番の意味で使われています。

  1. そのことのために全部を使ってしまう。ある限りを出しきる。
  2. その事柄のきわみにまで達する。成しうるまでする。きわめる。
  3. 果たす。全うする。
  4. 他の者のために精一杯働いたり努力したりする。
  5. すべてを表現する。
  6. (動詞の連用形について)全部…する。すっかり…してしまう。

「奢侈」の字義

「奢侈」が、贅沢を意味する言葉であることは前述のとおりですが、意味をより深く理解するためにこの言葉を構成する漢字を1つずつ検証してみましょう。

「奢」は音読みが「シャ」、訓読みが「おご(る)」です。「おごる」「おごりたかぶる」「贅沢をする」という意味を持ちます。

「侈」は音読みが「シ」、訓読みが「おご(る)」「ほしいまま」「おお(きい)」です。意味は、「おごる」「贅沢をする」「いばる」の他に、「広大である」などがあります。

「奢侈」は、「贅沢をする」という意味を持つ漢字を2つ続けて、意味を強める働きをさせている熟語なのです。

「奢侈を尽くす」の使い方

「奢侈を尽くす」という言葉は、通常はいい意味では使われません。「奢侈」自体に「度を過ぎた贅沢」という意味があるので、当然と言えば当然ですね。

ですから、上司や友人のお家に招待されたときに、ほめるつもりで「奢侈を尽くしたお家ですね」などと言ってしまうとトラブルを招きかねないので注意しましょう。

  • 苦労しらずの二代目が、奢侈を尽くした生活をした結果あの会社は潰れてしまった。
  • 奢侈を尽くした挙句、借金で首が回らないと言われても、何も同情できないよ。

「奢侈を尽くす」の類語

「奢侈」は「尽くす」のほかに、「奢侈に流れる」「奢侈にふける」などという表現でも用いられます。これらの言葉の意味は「奢侈を尽くす」とほとんど同じです。

「奢侈」という言葉を別の単語に言い換える、という観点で類語をいくつか挙げておきましょう。

「贅を尽くす」

「贅(ぜい)を尽くす」とは、「物事をできる限り贅沢にする」ということです。文脈にもよりますが、事実として「贅沢を極めている」という状態を表すだけの言葉なので、「奢侈を尽くす」に含まれる批判的なニュアンスは感じられません。

  • 贅を尽くした庭園に、ため息をついてしまった。
  • 天下統一を果たした秀吉は、贅を尽くした茶室を作ろうとして千利休と衝突した。

「豪奢を極める」

豪奢(ごうしゃ)を極める」も、贅沢な暮らしをすることを表す言葉です。「豪奢」という言葉は、「非常に贅沢で派手なこと、またそのさま」を意味します。

  • 豪奢な寝室に案内された彼女は、天蓋付きのベッドを見て歓声を上げた。
  • ベルサイユ宮殿の威容は、当時のフランス貴族の豪奢を極めた生活を偲ばせる。

「奢侈」の対義語

「奢侈」の対義語としては、「倹約」が挙げられます。「倹約」は、「むだ遣いをしないようにして、費用を切り詰めること」を意味する言葉です。

  • 江戸幕府八代将軍徳川吉宗は、浪費を戒め、質素倹約を奨励した。
  • 彼はケチと言うよりは倹約家だね。必要なところに使うお金は惜しまない人だよ。

「奢侈を尽くす」まとめ

日本では、古来「贅沢をすること」を悪とする価値観が根強くありました。現代では、「生活を楽しむこと」自体は良いことと捉えられることも多いですし、ある程度の消費活動がなくては経済が回らないのも事実です。

とはいえ、「奢侈を尽くす」つまり、「身の丈を超えた贅沢をする」ことはあまり褒められたことではないでしょう。倹約、倹約では息が詰まってしまいますが、収入を超えるような浪費には気を付けたいものですね。


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