「こたえる」とは?意味や使い方をご紹介

「こたえる」を漢字で書いてくださいと言われたら、どう書きますか?「答える」を挙げる方が多いかもしれませんね。次が「応える」、最後が「堪える」でしょうか。今回は、「こたえる」の意味や使い方をこれらの漢字ごとに分けて説明します。

目次

  1. 「こたえる」の漢字表記
  2. 「答える」の意味と使い方
  3. 「応える」の意味と使い方
  4. 「堪える」の意味と使い方
  5. 間違いやすい「骨身にこたえる」

「こたえる」の漢字表記

「こたえる」には3通りの漢字表記の仕方があります。

  • 答える
  • 応える」(「対える・應える・報える」とも表記)
  • 堪える

それぞれの意味が似ているところがあるため間違いやすく、使い分けが難しい場合があります。次の項目から漢字表記ごとに意味と使い方の違いを説明しましょう。

「答える」の意味と使い方

「答える」の意味は以下の2つです。

  1. 相手から言葉をかけられたのに対して声を出して言葉をかけ返す
  2. 出された問題を解く

1は「声に出して返事をする」ということです。一方、2は、回答を声に出すことに限らず、答案用紙などに記述して答える場合にも使われます。

例文

  • 友人から「大丈夫?」と声をかけられ、「平気だよ」と答えた。
  • 後輩に声をかけたら、笑顔で「おはようございます」と答えてくれた。
  • クイズ問題の正しく答えた。
  • 記述式の問題に答える。

「応える」の意味と使い方

「応える」の意味は以下の2つです。「報える」と書くこともあります。また、あまり見られませんが、「応」の旧字体「應」や応じるなどの意味を持つ「対」を用いて「應える」や「対える」とも表記します。

  1. 他から働きかけがあったときに、その状態にあった行動を起こす様子
  2. 刺激を強く感じること

1は、ほかからの依頼や要求などを受けて、それに見合うことをする時に用いられます。たとえば、「期待に応える」「要望に応える」のような使い方です。

また、不特定多数の相手から声をかけられたり、遠くから挨拶されたりしたときは笑顔で会釈をする、手をふるなどの動作を返しますね。そんな時は、声を出して返事をする「答える」ではなく、「応える」を用いるのがふさわしいでしょう。

2は、気象や環境、状態の変化などによって、身体に負担を感じる、精神的にまいっているという場合に用いられます。

例文

  • 上司からの期待に応えて難しい業務をこなした。
  • あるアイドルは、ファンからの黄色い声援に笑顔で応えていた。
  • 今年の夏の暑さは体に応える。
  • 祖父は、祖母の死がだいぶ応えているようだ。

「堪える」の意味と使い方

堪える」と書いた場合は「たえる・こらえる」とも読みますが、「こたえる」と読む場合の意味は以下の2つです。

  1. こらえる、耐え忍ぶこと
  2. その状態を保つこと

1は、肉体や精神などの苦痛、過労や貧困など問題があっても、必死に我慢して耐えるようなイメージで使われます。

2の意味では、多くの場合、動詞の連用形について複合語を作ります。例えば、「持ち堪える」(どうにか持ちこたえる)や「踏み堪える」(ふんばってこらえる)といった言葉です。

また、「堪える」の後に打ち消しの助動詞「ない」を伴うこともあります。「堪えられない」とは、冷静な気持ちを保つのが難しいくらい感情を動かされること、「これ以上ないくらい素晴らしい」ことを表します。

例文

  • 暖冬なのでこのくらいの寒さならまだ堪えられそうだ。
  • 在宅での勤務では誘惑が多すぎて堪えられそうにない。
  • 昨晩の雨風はひどかったが、花壇のフェンスは何とか持ち堪えてくれた。
  • 新製品のビールはのどごしが良く堪えられない美味しさだ。

間違いやすい「骨身にこたえる」

「重労働が骨身にこたえる」「世間の冷たさが骨身にこたえる」のように用いる「骨身にこたえる」という慣用句がありますね。この場合「こたえる」は上の3つの漢字表記のどれを使えばいいでしょうか?

「骨身」とは骨と身体、つまり、人の体全体のことです。「骨身にこたえる」は、刺激などを心身に強く感じることを言いますから、「骨身に応える」と書くのが正解です。

この「こたえる」を「堪える」と書き間違うことが多いようです。しかし、「寒さが骨身に堪える」という誤表記をむりやり解釈するなら、「身体に厳しい寒さだが何とか堪えられる」という真逆の意味になってしまいます。

漢字表記に迷ったら、慣用句の意味に立ち返って考えてみると良いでしょう。


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