「居住まいを正す」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「居住まいを正す(いずまいをただす)」という言葉があります。「居」「住」という「住まい」に関わる漢字が入っていますが、「家」とは直接の関係はありません。今回は、「居住まいを正す」という言い回しについて、意味や類語を含めて紹介します。

目次

  1. 「居住まいを正す」とは?
  2. 「居住まいを正す」の使い方
  3. 「居住まいを正す」の類語・関連語

「居住まいを正す」とは?

居住まいを正す(いずまいをただす)」とは、「きちんとした姿勢に座りなおす」、「座り方を改める」という意味の言葉です。

文字通り、「姿勢・座り方を変える」という場合にも用いられますが、「少し改まった態度を取る」というようなニュアンスでも使われています。

「居住まい」とは?

「居住まい」は、「ゐずまひ」という古語に由来する言葉です。大きく分けて以下の2つの意味を持ちます。

  1. 人が座っている姿勢。また、その態度。座り方。
  2. 住んでいるまわりのようす。環境。

現代語では、2の意味はほとんど失われています。「居住まいを正す」という言葉の対象になるのは、人の「姿勢」や「態度」です。住居まわりの環境をよくすることには、この言葉は用いられません。

「居住まいを正す」という言葉に比べて、見聞きする機会は極端に少ないですが、「居住まいを崩す」という言い回しも存在します。「居住まいを正す」とは逆に、「緊張感が解けて姿勢を崩すこと」を意味する言葉です。

「居住まいを正す」の使い方

「居住まいを正す」は、文脈によって意味のニュアンスが異なります。単に「体の構え」を整えているのか、内面の「意識」までを改めているのかは、文章から見極める必要があるでしょう。

例文

  • それまであぐらをかいていた父が、居住まいを正して咳払いをし、おもむろに語り始めた。
  • 先生が教室に入ると、それまで思い思いの姿勢でおしゃべりに興じていた生徒たちが、一斉に居住まいを正した。

「居住まいを正す」の類語・関連語

「佇まい」

佇まい」という言葉があります。読みは「たたずまい」で、「人の立ち姿、その場所にある様子や作り出している雰囲気」を意味する言葉です。

対象は人間に限定するわけではなく、建物や庭木の様子を表現するのにも使うことができます。「居住まい」は「座っている様子」、「佇まい」は「立っている様子」を表すということですね。

「佇まい」は、通常は「凛とした佇まい」のようにポジティブな形容を伴って用いられる言葉です。「居住まいを崩す」に対応するような、ネガティブな表現はあまり見受けられません。

「姿勢を正す」

「姿勢を正す」とは、「立ち姿、座り姿を正しいものにすること」、「心構えを整えること」の両方の意味を持つ言葉です。

多くの場合、「態度を改めて物事に向き合う」という意味で用いられます。この意味でも「居住まいを正す」の類語たり得ます。

【例文】

  • 人の話を聞く際には、姿勢を正して相手の目を見るようにするのが礼儀というものだ。
  • いつになく真剣な彼女の顔を見て、姿勢を正して話を聞くことにした。
  • 今後、このような不祥事のないよう、職員一同姿勢を正す必要がある。

「襟を正す」

「襟(えり)を正す」も、「居住まいを正す」の類語と言えます。この言葉の意味は、「衣服を整えて姿勢を正しくする」、「まじめな気持ちで物事に対処する」です。

この言葉も、外から見て分かる部分を整えるだけの場合にも、内心の変化を伴う場合にも使うことができます。

【例文】

  • 風で乱れた着物の襟を正し、彼は師匠の家の門を叩いた。
  • 教師として、その意見は襟を正して聞く必要がある。

「威儀を正す」

「威儀を正す」は、「いぎをただす」と読みます。「挙措動作が礼式にかなっていること、またその動作」を表します。

「威儀」とは、元々は仏教の用語で「動作・振る舞い」を意味する言葉で、「戒律」の異名として用いられていました。また、お坊さんの着る「袈裟」の肩の部分の紐も「威儀」と呼びます。

礼儀正しく、いかめしい態度を取る」という意味で用いられ、「外から見て分かる部分を整える」という意味で、「居住まいを正す」の類語と言えます。


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