「思いの外」の意味
「思いの外」は、「案外・意外」という意味があります。「案外」は「予測と食い違うさま」、「意外」は「物事の程度が予想からかけ離れたものであること」を指します。つまり、自分の予想に無いまたは予想から程遠い状態になった場合に「思いの外」を使います。
「思いの外」と「案外・意外」の使い分け
辞典を引くと「案外」は「おもいのほか」、「意外」は「案外・おもいのほか」など「思いの外」と「案外・意外」はほぼ同じ意味を持っているように記されていますが、使い分けとしては、「予想から離れた度合い」に着目すると良いでしょう。
【比較例】
- 意外と外は寒かった。
- 案外、外は寒かった。
- 思いの外、外は寒かった。
いずれも意味合いは同じですが、予想以上に寒かったことがよく伝わるのは3ではないでしょうか。1と2も予想外の寒さを感じてはいますが、その度合いは3に比べ弱めです。このように度合いの強弱で使い分けることが可能になります。
「思いの外」の使い方
- 絶対に遅刻しないように早めに出社したにも関わらず、思いの外、ギリギリの出社になってしまった。
- 今回の模試はあまり勉強出来なかったので自信は全くなかったが、思いの外、良い点が取れていたのでうれしかった。
- かすり傷程度だと思っていたが、思いの外、出血がひどく保健室に行くことにした。
- 釣り初心者でボウズも覚悟していたが、思いの外、魚を釣る事が出来たため冷凍して持って帰ることにした。
「思いの外」の類語
「予想外」
「予想外」は、「予想とは異なること」という意味があります。予想と異なった状態になる点において「思いの外」とはとても似た言葉と言えます。また、予想外の後には、良い事・悪い事の両方が当てはまります。
【例文】
- 新生活のために家電量販店に来たのだが、あれもこれもと購入していたら予想外の金額になってしまった。
- こんなにも早くスマホの通信速度制限がかかるなんて予想外だった。
- 友人と彼女はいつも喧嘩ばかりして離婚も秒読みだと思っていたら、子供が出来たらしい。予想外にもほどがある。
「不測」
「不測」は、「測りがたいこと・思いがけないこと・予測できないこと」という意味があります。予測外のことが起きるという点は「思いの外」と同じですが、ある程度予測している「思いの外」と違い、「不測」は全く予測がつかない状態(不測の事態)を意味する点で異なります。
【例文】
- 台風という不測の事態に備えて、スーパーには多くの買い物客が訪れていた。
- プレゼンの資料を管理している彼女が高熱で寝込んでしまった。この不測の事態を乗り切るにはどうしたらよいのだ。
- 優秀な社員がハンティングされる不測の事態が起き、我が部署は混乱している。
「思いがけず」
「思いがけず」は、「予想や期待をしていなかったことが起きる」という意味があります。予想もしていなかったという点では「思いの外」とはニュアンスが異なりますが、結果として予想と異なることが起きる点では似ている言葉と言えます。
【例文】
- 主張先で思いがけず高校の同級生に出くわし、話が盛り上がった。
- 感動系の映画を見ていたら、思いがけず涙が込み上げてきた。
- 思いがけず担任の先生と駅で遭遇してしまい、気まずさが漂っていた。
「思いの外」を英語で
「思いの外」は「自分の思っていたよりも~」と言い換えることが出来ます。つまり「more than I thought/expected」などが簡単で分かり易いでしょう。
【例文】
- Today's assignment was much easier than I thought it would be in 30 minutes.(今日の課題は思いの外簡単で30分で終わった。)
- The weather forecast said it was very cold this morning,but it wasn't as cold as I thought.(天気予報で今朝はとても寒いと言っていたが思いの外、寒くはなかった。 )