「口ずさむ」とは?
「口ずさむ」(くち-ずさむ)とは、文句・詩歌・メロディーなどを気が向くままに唱える・歌うという意味の言葉です。「口すさむ」と言うこともあります。
例えば、機嫌が良いときなどに、流行りの楽曲や、心に残っているメロディーなどを、鼻歌交じりについつい歌ってしまうという経験はないでしょうか。それが「口ずさむ」という動作です。
なお、古語の中では「うわさをする」という意味もあるのですが、現代語ではほとんど使われていないため、本記事では上記の意味に絞って解説を行います。
「口ずさむ」の使い方
現代語で「口ずさむ」と言った場合、その対象となるものは、ほとんど場合は流行歌など、メロディー(旋律)が存在する楽曲です。しかし、「聖書の内容を口ずさむ」のように、楽曲以外の文句・詩についても使用されることがあります。
いずれの場合でも「気が向くまま、よく親しんだメロディー等が、自然と口をついて出る」というニュアンスが込められていることが「口ずさむ」の特徴です。よって、「よく知らない歌を口ずさむ」「歌えと言われて、嫌々口ずさむ」といった表現は不自然です。
逆に言えば、「口ずさむ」ことができるということは、その内容について(無意識レベルで、身体に染み付くほどに)よく覚えており、暗誦(あんしょう)することができるレベルにある、とも言えるでしょう。
例文
- 私はテレビを見ないしアイドルなどにもまったく興味がないが、学生たちが口ずさむアイドルの流行歌がすっかり頭に染み付いてしまった。
- 朝、目覚めると、彼女がキッチンでいつものメロディーを口ずさんでいるのが聞こえた。機嫌がよい証だ。
- 彼女はああ見えてかなりの教養があるようだよ。さきほど廊下ですれ違ったとき、シラーの詩を口ずさむのが聞こえたからね。
「口ずさむ」の漢字・語源
「口ずさむ」を漢字で書くと、「口遊む」または「口吟む」です。どちらも日常的にはほとんど使われていない読み方ですので、一般的には「口ずさむ」と表記したほうが伝わりやすいでしょう。
「すさむ」の意味
「遊む」(すさ-む)という言葉は、「荒む」「進む」とも書き、「湧いてくる勢いのままにする」「詩歌などを吟(ぎん)ずる」「心の赴くままに事をする」「遊び慰める」といった意味を持っています(遊ぶ[すさ-ぶ]ともいいます)。
「口遊む」の「遊む」は、上記のうちどれか特定の意味というよりは、「遊む」の全体的なニュアンスが語源となっているようです。
なお、「吟」には「すさむ(すさぶ)」という読みはないため、「くちずさむ」を「口吟む」と書くのは、「吟ずる」という意味を読み当てたものと考えられます。
「口ずさむ」を英語で言うと?
「口ずさむ」を英語で言いたい場合は、「croon」(小声で、感情をこめて歌う)や、「hum」(ハミングで歌う、鼻歌を歌う)が適当です。
ただし「croon」は、主に「低い声で感傷的に(時に嘆きや悼みをこめて)歌うさま、その歌い方」を表す言葉であるため、「陽気に、明るく口ずさむ」としたい場合には「hum」とするほうが良いでしょう。
また、場合によっては「sing」(歌う)も使えますが、これはどちらかといえば「はっきり声に出して歌う」というニュアンスです。
例文
- She crooned a lullaby until her baby slept.(彼女は赤ん坊が眠るまで子守唄を口ずさんだ)
- The girl hummed the nostalgic melody verse repeatedly.(少女はその懐かしいメロディの一節を繰り返し口ずさんだ)