「長きにわたり」の意味
「長きにわたり」とは、長い期間続いていくこと、ずっと連続する様子を表す言葉です。形容詞の「長し」を連体形にしたのが「長き」、「わたり」とは「期間や範囲が及ぶ」ことを表しています。
「長きにわたり」使い方と例文
「長きにわたり」という表現の仕方は、格式張った場所でのスピーチや挨拶状、ビジネス文書などで利用されることが多い言葉です。日常的な会話ではあまり見られないかしこまった表現の言葉ですね。
「長きにわたり」の使い方と例文を利用される場面について、退職に関連すること、感謝の気持ちを表すこと、お世話になった方への挨拶状に分けて説明します。
退職に関連すること
「長きにわたり」は、長期間会社に勤務した方の退職に際し、それまでの労をねぎらい感謝の気持ちを表すとき、あるいは、退職する方がお礼や感謝の言葉を言うときに使われます。
2~3年のように短期間で辞めた社員ではなく、定年退職もしくは定年近くまで勤め上げた方に用いるのがふさわしいでしょう。
【退職する方をねぎらう例文】
- 長きにわたりお疲れさまでした。今後のご活躍をお祈り申し上げます。
- 長きにわたりご指導をいただき、感謝しております。
【退職にあたり社内の人へのお礼の例文】
- これまで長きにわたり勤務させていただくことができたのも、皆様のおかげです。
- 入社以来〇〇年、長きにわたり大変お世話になりありがとうございました。
長年の感謝の気持ちを表す
お客さまに、長年の感謝を込めて、お知らせやお礼状を差し上げる時に使います。様々な人のおかげて会社や店舗が存続してこられたという気持ちから、付き合いの浅いお客さまへの文面に使っても差し支えありません。
【例文】
- 閉店まで長きにわたりご愛顧をいただき、誠にありがとうございました。
- 長きにわたりお付き合いいただき、無事に開業〇〇周年を迎えることができました。
お世話になった相手に挨拶状
個人で親しい相手に通知状や挨拶状を出す場合もあるでしょう。長年親しくしているという気持ちを込めて、「長きにわたり」という語句を入れると丁寧な印象です。
【転居の挨拶状】
長きにわたり、〇〇様には大変お世話になりました。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
【年賀状じまいのお知らせ】
長きにわたりお付き合いいただきありがとうございます。寄る年波には勝てず、勝手ながら今年を持ちまして年頭の挨拶を失礼させていただく所存でございます。
「長きにわたり」の類語
「長きにわたり」のように長い間を表す言葉に、副詞の「長らく」(ながらく)・「長らくの間」(ながらくのあいだ)という類語があります。「長らく」という言葉は、「長く」と「しばらく」が混ざって組み合わされた言葉と言われています。
単に「久しく」という意味でも利用できますが、公式の場で使われることの多い堅い雰囲気の語句です。「長きにわたり」と同様に長期間続いていることに対して感謝の意を示せます。お詫びに用いられることもあります。
【例文】
- 商品が入荷いたしました。長らくの間、お待たせして申し訳ございませんでした。
- 最終回まで長らくお付き合いいただきましてありがとうございました。
「長きにわたり」の漢字表記
質問者
(30代)
お客様への手紙に「長きに渡り」と書いたら、上司に「字が違うよ」と注意されました。どの字が適当でしょうか?
回答者
(30代)
「長きに亘り」もしくは「長きに亙り」が適切ですよ。
ビジネス文書やお礼状などで、得意先に「長きにわたりご愛顧いただき」というように使う場合がありますね。「渡り」と表記した時に、間違いを指摘されることもあるようです。
「渡り」は、場所を移動する場合に使われるため、「長期間」というような時間の流れを表す場合には、昔から今まで連なる時間の流れと考えて、一方の端から他方の端まで連なる、巡らすという意味のある「亘り(亙り)」の表記のほうが適しています。
ただし、特に漢字で書くようにと指定がない場合は、「長きにわたり」と平仮名で書いても構わないでしょう。