「寄る年波」の意味
「寄る年波」とは老化や高齢化など年を取っていくことという意味です。「年波」とは年を重ねることを波にたとえた言葉で、「年が寄る」と「波が寄る」を掛けた洒落でもあります。
物の老朽化や集団の老化には使われず、もっぱら個人の高齢化に対してのみ使われます。老いや衰えを感じさせる状況であれば、それが病や体力低下などの体の問題でも鬱屈した感情などの心の問題でも使用可能です。
「寄る年波」という言葉は、他人には失礼なので使われません。そのため、老化の基準も主観的です。高齢者が使うことが多いのですが、中年や壮年、さらには30代であっても自分が老いたと感じているなら使うことができます。
「寄る年波」の使い方
「寄る年波」は、「寄る年波には勝てぬ」という形でよく使われます。お年寄りの方々が若いころと同じように頑張れると無理をしても、結局は老化に勝てないという自嘲や嘆きの言葉です。
使用例
- 若いころは病気一つしなかった彼も寄る年波には勝てなかったのか、最近は病に伏せることが多くなったそうだ。
- 現役時代は札付きの悪童として知られ、いくつも武勇伝を残した先輩とは思えない。そう伝えると、「寄る年波のせいだ」と答えが返ってきた。
- 寄る年波には勝てぬというやつなのか、昔はたやすく出来たことにも苦労している。
「寄る年波」の英語訳
Old age tires both body and soul.
「寄る年波には勝てぬ」の英語訳の一つが「Old age tires both body and soul.」です。直訳すると、高齢は体も心も疲れさせる、となります。
文脈にもよりますが、心身ともに衰えている時には適した表現ですね。一方で、体は衰えても心は元気という場合には適さないフレーズと言えます。
Nobody can struggle against advancing age.
「寄る年波には勝てぬ」の別の英訳が「Nobody can struggle against advancing age.」です。こちらは直訳すると「だれも加齢に打ち勝つことはできない」といったところでしょうか。
「struggle against」は戦う、争う、じたばたするという意味です。単に戦うというよりも苦闘している、勝ち目のない戦いをしているという意味が強い表現です。
「寄る年波」の関連語
年寄りの冷や水
「年寄りの冷や水」とは、お年寄りが無茶をするのを冷やかす言葉です。若いころと同じようにはいかない年齢にもかかわらず、若者のようなことをしたり無理する老人を戒めるためにも使われます。
若者が冷たい水を浴びているのに対抗意識を燃やし、自分もとばかりに強がり、水浴びをしようとすることに由来しているそうです。年寄りが冷たい水を飲むのは体に良くないと言われていたころに、若いふりをして冷水を飲むことに由来するという説もあります。
老いを養う
「老いを養う」とは、老化した自分のことを大切にいたわる、体を休めて養生するという意味です。無理をしないことや隠居生活を送ることにも使われます。
老いてはますます盛んなるべし
「おいてはますます盛んなるべし」とは、年を取っても健康で気力を充実させなければいけない、何事にも今まで以上に元気に取り組みなさいという意味のことわざです。
年を取るのは防ぐことができません。そして年を取ってしまうと若いころと同じようにはいきません。だから、今まで以上に強い気持ちでいなければいけないということですね。同じ意味の四字熟語に「老当益壮(ろうとうえきそう)」があります。