「多角的」とは?
「多角的」は(たかくてき)と読みます。物事が単純にただ一つだけではなく、多くの方面にわたってかかわるさまを意味する言葉です。
企業戦略などにおける文章の「多角的経営」など、さまざまな場面でこの言葉をを目にしたことがあるのではないでしょうか。言葉の意味をより深く理解するため、もう少し詳しい説明を後述します。
「多角的」の詳細な意味
「多角的」の説明によく用いられるのが「サイコロ」の例です。「多角的」の「角」は、サイコロで言えば、角(かど)、面が交わる部分などを意味しています。いくつかの表現から、「多角的」の詳細な意味を考察します。
「多角的に考える」という表現で「多角的」の「角」は、多くの立場、多くの立ち位置、多くの観点、多くの視点などに置き換えることができます。サイコロを考える対象とみた場合、複数の立場や観点からそれを考えるという意味になります。
「多角的経営」もよく見聞きする表現です。例えば、あるメーカーが化粧品だけではなく、医療品、食品など分野の違う部門を持つ場合、その部門を「角」とみなし、複数の異なる分野を有して経営することを「多角的経営」と表現します。
「多角的」の使い方
上記のように、「多角的」とは、複数の立場・視点から問題(対象)を捉えることや複数の方向・分野にわたることが大前提で、その主体(主語)が、対象に向けて働きかけをする、その「働きかけ」「分析」「動作」などのありかたを「多角的」と表現しています。
「多角的」の文例
- 物事は多角的な視野で判断すればするほど正確なものに近づく。
- 我が社は、今期より商品を売るだけでなく、サービス業やイベント業など多角的な経営に着手する。
- 今回提議された課題につきましては、多角的に検討していく所存です。
- 様々な技術革新も淘汰も激しいこれからの時代は、企業は多角的戦略を持つべきだ。
「多面的」とは?
「多角的」とよく比較される言葉が「多面的」です。どちらも、単眼的ではなく複眼的な視点を持つという意味においては共通しています。異なる点は、「多角的」が、物事を複数の立場や観点から捉えるのに対し、さまざまな方面、側面から物事を見るのが「多面的」です。
ビジネスにおいて例をあげれば、「多角的」の「角」は、部門やジャンルに相当し、「多面的」の「面」は、売上や顧客の種類などのさまざまな情報と捉えることができます。
ある企業を「多面的」に評価する場合、どれだけの異なる部門を持っているかは、「面」のひとつです。そのほか、業績、株価、雇用者数、経営陣の有能さなど、さまざまな「側面」「情報」によって判断することが「多面的」評価です。
「多面的」の文例
- 真理子さんは、明るい表情をしていたかと思うと、激しく落ち込んだり、怒ったりと、多面的な性格を垣間見せることがある。
- 入社したい会社を選ぶときは、CMでのネームバリューなどではなく、業績や株価、賃金体系や福利厚生など多面的に調べて決めるべきだ。
- 自分の人生を振り返るとき、多面的に見れば、結局は正負のバランスがどこかでとれているものだ。
「多角的」の類語
「多角的」における様々な立場や観点などには、分析や立ち位置の決定など単純ではない背景がありますので、厳密な意味での類語は見当たりませんが、上述したように「複眼的な視点を持つ」という共通の意味において「多面的」が類語的に使われていることがあります。
また、「多彩」「多種多様」などが近い言葉ではありますが、単純に数が多いという意味に留まります。
【文例】
- 当ホテルは、多彩なサービスを充実させており、大変お客様にご満足頂いております。
- 我が社は、多種多様な部門を有する、総合的な福祉サービス業です。