「真骨頂」とは?
「真骨頂」は、(しんこっちょう)と読みます。漢字を見ても、読みがわかっても、シンコッチョウ?と首をかしげる人は多いかもしれません。
一方、スポーツ好きな人なら、「~選手の真骨頂!」などの実況中継のアナウンサーの声が思い浮かぶのではないでしょうか。また、文芸好きな人なら批評記事で、「小説家~の真骨頂」などという文章を読んだ記憶があるでしょう。
「真骨頂」は、そのもの(その人)が本来持っているありのままの姿、能力、本当の様子などを意味する言葉です。それゆえに、スポーツの解説や文芸、技芸の論説など「評価」を伝える場で多く見聞きすることになるのです。
「真骨頂」の使い方
「真骨頂」は、本来、様々な対象に用いることができますが、現代日本語では、圧倒的に「人」を対象として使われることが多い言葉です。その場合、対象とされる人物、あるいは何かの行為は、元々、称賛されるべき有能さを持っていることが前提となります。
例えば、優勝が有力視される走者が日本新記録でゴールすれば、まさに「真骨頂」。逆に予選をぎりぎりで通過した注目されない選手が優勝した場合、「真骨頂」は用いられません。逆転劇、番狂わせ、奇跡の優勝などとアナウンサーは叫ぶことでしょう。
「真骨頂」の文例
「真骨頂」は、「~は~の真骨頂」「真骨頂を発揮する」「真骨頂を見せる」などの言い回しが頻用されます。
- フィギュアスケートの世界大会で、期待のH選手は四回転ジャンプを三回成功させ、真骨頂の演技で優勝を飾った。
- 小説家Aの今回の推理小説は、犯人の予想がつかないとされる作風の真骨頂とも言える作品だ。読者は最後の頁で呆然とすることだろう。
- 茶道家としてのあなたの真骨頂を発揮して、親日派B教授の来日を歓迎した茶会を開いて頂きたい。
- その映画のラストで、観客席は感動の嵐となった。映画というものが、その真骨頂を見せた瞬間だった。
- レストランCの真骨頂といえる新作メニューが評判をよび、予約の取れないレストランとなってしまった。
「真骨頂」の語源
「真骨頂」は、漢字から意味が推測しづらい言葉です。そもそも、「骨頂」は、「骨張」だったという説が有力です。「骨張」は、「骨を張る」の略語であり、これ以上張るものがない、すなわち、これ以上ない、この上ないという意味になります。
やがて、その意味から「張」に「頂」が当て字され、「骨頂」になったと言います。「真」は、偽りのない、本当という意味であることから「骨頂」を強調し、「真骨頂」は、本来持つ最高の力という意味を持つに至ったようです。
「愚の骨頂」という言葉では、「骨頂」はネガティブに作用し、「これ以上ない愚かさ」という意味になります。
「真骨頂」の類語
「真面目(しんめんもく)」:「真面目」は、お馴染みの「まじめ」ですが、実はもうひとつの読み方と意味を持ちます。それが、「真面目(しんめんもく)」です。(しんめんぼく)と読む場合もあります。人や物事の本来の姿や様子、真価を意味します。
【文例】
技巧のマジシャンとも称されるピアニストDは、その真面目をいかんなく発揮し、聴衆を魅了した。
「本領発揮(ほんりょうはっき)」:「本領」とは、人が元々持っている優れた力、特性などを意味します。「発揮」は、持っている力を存分に働かせることです。したがって、「本領発揮」とは、持っている能力、資質などを存分に働かせることです。
【文例】
被災者の避難所で、歌手Eはその本領を発揮して、見事な歌によってみんなを励ました。