「フェードアウト」とは?意味や使い方をご紹介

人との関係を断ち切る時に使われる「フェードアウト」という言葉があります。本来は映像・音楽の制作時に用いられる言葉なのですが、最近では日常生活の中でも広く使われるようになりました。今回は「フェードアウト」という言葉について、意味や使い方を詳しく解説します。

目次

  1. 「フェードアウト」とは?
  2. 「フェードアウト」の使い方
  3. 「自然消滅」との違い
  4. 「フェードアウト」の広がり

「フェードアウト」とは?

「フェードアウト」という言葉が使われる場面としては、大きくわけて2つの場合があります。1つは制作用語として用いられるケース、もう1つは日常生活において比喩的に用いられるケースです。

いずれの場合も意味は共通していて、「次第に消えていくこと」や「徐々に弱めていくこと」を表す時に、「フェードアウト」という言葉を使います。

「フェードアウト」の使い方

技術用語として

「フェードアウト(fade out)」とは、映画制作や舞台演出などにおいて映像や音量、あるいは照明を徐々に弱めて消してしまうことを表す言葉です。溶暗(ようあん)ともいいます。

主に作品の最終シーンや展開の区切りの場面に用いられ、徐々に終了させることにより視聴者に余韻を残す効果が生まれる技法です。

一方で、映像を徐々に浮かび上がらせたり音量を次第にボリュームアップさせたりする技法もあります。「フェードイン(fade in)」と呼ばれる技法で、視聴者に衝撃を与えることなく映像・音楽を受け入れる余裕を持たせることがその効果です。

〈用例〉

  • DVDにはフェードアウトなどの制作技術がふんだんに取り入られているので、ライブとはまた違った良さがあるね。
  • あの映画はエンディングのフェードアウトが非常に効果的で、その余韻からしばらく席を立つことができなかったよ。
  • 我が子の動画撮影を趣味とする夫は、いつの間にか技術が向上し、今ではフェードアウトなどお手の物だ。

比喩的な表現として

近年「フェードアウト」という表現は、私たちの日常生活の中でも頻繁に見聞きするようになりました。もともとの意味から転じて、「緩やかに消滅する(させる)」という意味で使われている言葉が「フェードアウト」です。

関わっている事柄や相手から身を引きたい時、突然「やめる」と宣言するのは勇気のいることです。また、周囲に悪い印象を残すことにもなりかねません。

しかし「フェードアウト」であれば、終わらせるまでの経過が不鮮明であるため周囲に気付かれにくいという利点があります。悪い印象を与えることなく関係を断ち切ることを可能にするのが「フェードアウト」です。

〈用例〉

  • 友人に誘われてボランティア活動を始めてみたものの、このままでは役に立てないままフェードアウトしそうだ。
  • ママ友関係では色々と悩みやトラブルを抱えてきたので、子どもが卒業したらフェードアウトしようと思う。
  • 婚活で出会った彼とは一向に将来の話にならないので、そろそろフェードアウトした方がいいかしら。

「自然消滅」との違い

対人関係で用いられる「フェードアウト」の類語として真っ先にあげられるのは、「自然消滅」という言葉です。「フェードアウト」が今のような使われ方をしていなかった頃は、「自然消滅」と表現していました。

「自然」「消滅」とはいっても自然になくなることは稀で、実際はそう見えるように本人の意思が働きます。具体的には、連絡を取ることを避けるなどの行為がそれにあたります。

「フェードアウト」も本人の意思が働かなければ、徐々に消えることはありません。その点でこの二つの語は共通しているのですが、全く同じとは言い難く、微妙に異なった印象を受けるのはなぜでしょうか。

その理由を考えてみると、「フェードアウト」が色褪せていく過程を印象付ける語であるのに対し、「自然消滅」は「消滅」という最終到達点を強調する語であることに気付きます。

そのため「フェードアウト(過程)して自然消滅(結果)」と二つの語を並べられても、特に違和感なく受け入れることができるのです。

「フェードアウト」の広がり

制作の場以外で「フェードアウト」という言葉が使われるようになったのは、実は1980年代のことです。1984年にリリースされた沢田聖子さんのシングル曲『あなたからF.O.』(あなたからフェードアウト)は恋を終わらせる女性の気持ちをうたった曲、そのタイトルにつけられたのが「フェードアウト」という言葉でした。

そしてその後、2000年頃を境に、日常的に使われるようになります。今ほど様々な場面で使われていたわけではありませんが、人との関係を終わりにする時には「自然消滅」ではなく「フェードアウト」という言い方をするのが一般的になりました。

若者言葉「UFO」

「フェードアウト」という言葉が広がりを見せ始めてからほどなく、若い女性を中心に「UFO」という言葉が使われるようになりました。「UFO」と聞くと未確認飛行物体を思い浮かべてしまいますが、若者言葉の「UFO」は宇宙とは全く関係がありません。

「UFO」は「上手く(U)、フェード(F)、アウト(O)する」の略語です。2010年頃から使われ始め一時はメディアにも取り上げられましたが、今は「UFO」も汎用性をもち、フェードアウト以外の意味で使用されているようです。

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