「翻る」とは?意味や使い方をご紹介

「翻訳」や「翻弄」は日常生活でよく見ますが、「翻る」はこれらよりも見かける頻度が少ないため、読み方が分からない方も多いでしょう。また「翻る」には複数の意味がありますから、使い方を含めて把握しておきたい所です。ここでは「翻る」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「翻る」の意味
  2. 「翻る」の使い方
  3. 「翻る」の類語
  4. 「翻る」に関連する表現

「翻る」の意味

翻る」は「ひるがえる」と読み、以下の三つの意味があります。

  1. 反対の面が出る・さっと裏返しになる
  2. ひらひらと動く
  3. 今までの態度や言動が急に変わる

1は、「裏返る」や「ひっくり返る」などと似たニュアンスで使うことができます。2は、風になびいて揺れ動く様子を指しており、「なびく」「たなびく」などと同じ意味で用いられます。

3は、1の意味が派生し、態度や言動に対しても使われるようになったものです。「急転」「急変」「覆る」などと近い意味を持ちます。

「翻」の字義と成り立ち

」は、音読みで「ホン・ハン・ヘン」訓読みでは「ひるがえ(す)・ひるがえ(る)」と読みます。

【意味】

  1. ひるがえる。ひるがえす。ひっくりかえす。
  2. うつしかえる。うつしとる。

」は、「番」と「羽」から成り立つ漢字です。「番」は「田畑に種をまく」ことを、「羽」は「鳥の両翼」を示すことから、鳥が羽をのびやかに広げてひるがえる(体をおどらせながら飛ぶ)様子を表しています。

「翻る」の使い方

例文

  • 風に吹かれて落ち葉が翻る
  • 強い海風で、漁船の大漁旗が翻る
  • これまでの方針が翻った結果、現場はしばらく混乱した。

「ひらひらと動く」意で使う場合の注意点

「翻る」は、紙や布状のものが空中にある程度広がっており、それが風を受けて動いている様子を表しています。よく使われるのが「旗」や「マント」などです。

「翻る」物の具体的な動きは重要ではありません。たとえば、「旗が小まめに翻る」のように動作を示す語をつけると、不自然な表現になりますので気をつけましょう。

「言動や行動が急に変わる」意で使う場合の注意点

「翻る」は、言動の変化によって事態が好転した場合にも、悪化した場合にも用いることができます

「言動や行動が急に変わる」意味で使う際は、その状態が「急に」変わっていなければなりません。変化のスピードがゆっくりだったり、小さい変化だったりする場合に用いるのは適当ではないでしょう。

「翻る」の類語

覆る

覆る(くつがえる)」には、以下の意味があります。

  1. ひっくり返る、上下が逆になる
  2. 国・政権などが打ち倒される、滅びる
  3. それまでのことが否定されて、全面的に改まる

どの意味も「翻る」に類する意味ですが、「翻る」と比較すると、「覆る」のほうがより大きな変化に対して用いられる傾向にあります。例としては、「天地が覆る」、「政権が覆る」、「判決が覆る」のように使われます。

手のひらを返す

「手のひらを返す」とは、「急に態度を変え、これまでとは正反対の対応をする様子」を表す慣用句です。たとえば、優しかった人が意地悪になったり、逆に嫌味な態度だった人が好意的な態度になったりすることを「手のひらを返す」と表現します。

「翻る」に関連する表現

反旗を翻す

「反旗を翻す(はんきをひるがえす)」は、謀反(むほん)を起こす、反逆するという意味です。立場が下の者が、上位の者に対して反逆する様子を表します。歴史においては、戦国時代の謀反や大きな革命などを表現するときに使います。

【使用例】
国王の圧政に苦しんだ市民たちは、遂に反旗を翻して立ち向かった。

翻って

翻って」は、動詞「翻る」の連用形で、「反対に・これとは別に」という意味があります。「今までとは違った立場や方面から物事を見る」様子を表すので、「一方で」「他方で」「反面」「方や(かたや)」などと言い換えることもできます。

【使用例】
電卓や表計算ソフトのおかげで、複雑な計算を正確に素早く実施できるようになったが、翻って考えると、それらのツールが計算力や暗算力の低下を招いているとも言える。


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