「かまをかける」とは?意味や使い方を語源を含めてご紹介

本当は内緒だったのに、相手にあわせていくうちについ話してしまった。皆さんにはそのような経験はありませんか。そうしたケースで相手がしたように‘誘導する‘ことを「かまをかける」といいます。今回は「かまをかける」の意味や使い方を語源も含めて詳しくご紹介します。

目次

  1. 「かまをかける」とは
  2. 「かまをかける」の例文
  3. 「かまをかける」の語源
  4. 「かまをかける」の類語

「かまをかける」とは

「かまをかける」とは、こちらが知りたいことを相手から引き出すために巧みに誘いをかけることをいいます。直接的に「どうなの?」「こうだよね?」と問いかけるのではなく、相手がうっかり話してしまうように仕向けるのが「かまをかける」という行為です。

その行為には、時に小さな嘘も伴います。刑事ドラマでよくある、取り調べ時に実際には存在しない目撃者や証拠をちらつかせて自白させるシーン、あれはまさに「かまをかける」行為にあたります。

このことからもわかるように、「かまをかける」は少々‘ずるい手法‘ともいえます。信頼関係の成り立つ間柄で安易にかまをかけたりすれば、後々まで影響する可能性もあるので注意が必要です。

「かまをかける」の例文

  • テストの出来が悪かったことを親には内緒にしていたのに、兄にかまをかけられてぽろっと話してしまった。
  • 最近付き合いが悪くなった友人にかまをかけたら、恋人ができたと打ち明けられた。
  • 電話口の声と話し方に違和感を覚えてかまをかけたら、息子を語った詐欺だとわかった。
  • 彼氏の行動があやしいのでかまをかけたら、浮気相手がいることを白状した。

「かまをかける」の語源

「かまをかける」の‘かま‘は、漢字では「鎌」と書きます。「鎌」とは農作物を収穫する際に使用する道具のことをさしますが、なぜ「かま(鎌)をかける」という言葉が人の本心を引き出す(誘導する)という意味で用いられるようになったのでしょうか。

その語源については諸説ありますが、有力とされているものは二つに絞られます。ここではその二つの説について、詳しくみていきます。

語源1:農具「鎌」の使い方

「鎌」は農耕から家庭菜園まで広く使われている農具のひとつで、三日月形の刃に木の柄をつけたものをさします。主に農作物を収穫する際に使用しますが、その使い方として、刃の部分に対象物を引っ掛け自分側に引き寄せるという特徴があります。

「かまをかける」はその動作から来ているとするのがひとつの説です。人を相手に「鎌」を用いることなど実際にはありませんが、自分が期待する答えに相手を誘導するさまと収穫の際の動作をかけた、というわけです。

語源2:「火打ち鎌」で火をおこす

「火打ち鎌」ではなく「火打ち石」と表現した方が伝わりやすいでしょうか。「火打ち鎌」とは、火を起こす時に用いられる道具のことです。

マッチもライターもなかった時代、火を起こす道具として用いられたのが「火打ち石」でした。しかし石と石をぶつけあわせただけでは火がつくはずもなく、実際は石と金属をこすり合わせて火を起こしていたのです。

この金属のことを「火打ち鎌」と呼びました。「かまをかける」は、この‘火を起こす‘行動と話を引き出す行動をかけたもの、というのがひとつの説です。

「かまをかける」の類語

「かまをかける」と似たような言葉に、「水を向ける」があります。「水を向ける」とは相手の関心が自分の思う方向に向くように誘いをかけることをいいます。

「かまをかける」も「水も向ける」も誘導という行為である点は同じですが、その言葉から受ける印象にはだいぶ差があります。それもそのはず、「かまをかける」には相手をだますとか引っ掛けるというような、ネガティブな意味が含まれるのです。

一方「水を向ける」という言葉には、相手を陥れるような行為は含みません。結果的に相手を自分の思い通りに導いたとしたとしても、相手を不利な状態にすることがないのが「水を向ける」という行為です。


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