「姦しい」とは?
「姦しい」(かしましい)とは、耳障りでとてもうるさいこと、やかましいことを意味する言葉です。女という文字が三つ集まって「かしましい」とは、女性蔑視ではないか!と怒る方がいるかもしれませんね。
とはいえ、古今東西、男性に比べて女性のほうがおしゃべりであることには、多くの人がうなづくのではないでしょうか。
その女性が三人も集まれば話もはずみ、やがては声高になり、やかましいほどになって、「姦しい」という表現が生まれたとなれば、ユニークな言葉ともいえるでしょう。
「姦しい」の使い方
「姦しい」を使う上で最も注意すべき点は、この言葉の由来が女三人のやかましさであったとしても、男女の性別なく、人数にも関係なく使うことができ、対象は人間以外の動物でもよいということです。
たとえ男性1人が耳障りにさわがしくしていても「姦しい」と表現すること自体は可能です。とはいえ、適切なシチュエーションとしては、やはり複数の女性たちが声高に話したり笑ったり騒がしくしている場への表現がしっくりきますね。
もうひとつ、「姦しい」は、人間の声や動物の鳴き声などが対象であり、それ以外のさまざまな音には用いることができません。例えば建設現場の音について、うるさいとはいえても、姦しいとはいえません。
「姦しい」の文例
(A男)
なき祖父の法事で久しぶりに親戚が集ったら、女性陣の話が盛り上がって姦しいのなんの、まるで祝い事のようだったよ。
(B子)
田中部長が取引先と電話で話していたのだけど、いい話だったのかテンション上がっちゃって、姦しすぎて仕事に集中できなかったわ。
(C男)
自宅の隣が中学校なんだ。放課後になると生徒たちが校門前で騒ぐから、姦しくて参っちゃうよ。
「姦しい」の類語
「うるさい」
「うるさい」は、多くの意味をもつ言葉ですが、「姦しい」の類語としては、音が大きく耳障りであること、やかましいこと、という意味が当たります。
なお、「うるさい」は漢字では煩い、五月蝿い、と書きます。煩い、の「煩」は煩わしいという意味ですが、「五月蝿」という表現は気になりますね。五月の蝿はうるさい、というところから「五月蝿い」をうるさいと読むのです。
女が三人寄って姦しい、五月の蝿が五月蝿い、という由来は、ともにユーモラスですね。人がたてる声であれ物音であれ、対象となる言葉です。
【文例①】孫は可愛いのだが、きゃあきゃあとはしゃぐ声はかなりうるさい。
【文例②】近所で建設中のマンションの工事の音がうるさくてしかたがない。
「賑やか」
「賑やか」(にぎやか)には二つの意味があります。
- 人の声や物音がさかんに聞こえるさま、陽気にさかんにしゃべったり笑ったりするさま。
- 人などが多く集い、活気があるさま。
「姦しい」の類語としては、1.の意味が該当しますが、うるさいというネガティブなニュアンスはもちません。「賑やかすぎる」となれば別ですが、基本的には「賑やかで楽しそう」という雰囲気に用いるのが適切です。
【文例】パーティーもたけなわとなり、あちらこちらで談笑が賑やかに繰り広げられていた。
「騒々しい」
「騒々しい」(そうぞうしい)は、二つの意味をもつ言葉です。
- 声や物音が大きくてうるさく、ざわついている。
- 事件など不穏なできごとにより、落ち着かないこと。
「姦しい」の類語としては、1.の意味が該当します。「姦しい」にくらべると、ざわざわと落ち着かない物音、というニュアンスが強い言葉です。
【文例】救急車のサイレンがずっと聞こえていて騒々しいけれど、大きな事故でもあったのだろうか。