「ご期待に添えず」とは
「ご期待に添えず」(読み:ごきたいにそえず)というフレーズは、(相手が)心待ちにしていたことについて叶えられずにという意味を持ちます。
「期待」はある物事が実現することをあてにする、もしくは待ち望んでいるということを表す言葉です。その「期待」に、接頭語の「ご」を付けて丁寧語にすることで、相手に対する敬意を示します。
「添えず」は目的に合う、希望したことが叶うことを表す「添う」に打ち消しの助動詞「ず」が付いた言葉です。「ご期待に添えず」という言葉は、比喩も何もなく字義通りの意味ということになりますね。
「ご期待に添えず」の用例 ①謝罪
「ご期待に添えず」という言葉は、後に尊敬表現の入った謝罪の言葉を付けて使うことが多いです。相手が期待したことを叶えられなかった、という意味で丁重にお詫びをするニュアンスが込められています。
相手に謝罪する際に、ビジネス文書や手紙で書き言葉に使うのはもちろん、顧客からの苦情電話への対応や、相手方に直接出向いて心を込めてお詫びする時にも使われます。
【「ご期待に添えず」を謝罪の意味で使う例】
ご期待に添えず申し訳ございません…期待に答えられずに謝罪をする
ご期待に添えず恐縮しております…相手からの要望に答えられずに恐れ入る
ご期待に添えずご迷惑をおかけしました…相手が心待ちにしていたことが実現できず、迷惑をかけてすまない気持ちを表す
文例
【「ご期待に添えず」謝罪の文例】
- 弊社の商品〇〇について、お客様のご期待に添えず誠に申し訳ございませんでした。
- お問い合わせをいただきましたが、ご期待に添えず恐縮しております。
- 台風の被害により欠品が生じています。ご期待に添えずご迷惑をおかけしております。
「ご期待に添えず」の用例 ②謝絶
「ご期待に添えず」という語句は、謝罪から派生させて、相手にやんわりとお断りをする時のクッション言葉として用いることができます。ビジネス文書の書き言葉や取引先との会話などで使うと、関係を悪くしないように配慮できることもあるでしょう。
謝罪のニュアンスも含められるためにやむにやまれず断る気持ちや、相手にもつらい気持ちをさせてしまうし、話し手(書き手)も心苦しいという心情を込めることができます。
【「ご期待に添えず」をお断りする時に使う例】
- ご期待に添えず残念ではございますが…要望にたいおうできずこちらも悔しいという気持ち。
- ご期待に添えずご容赦ください…希望に対処できず許してほしいというニュアンス。
- 不本意ながらご期待に添えずご辞退申し上げます…自ら望んではいないが、仕方なく断るという意味合い。
文例
【「ご期待に添えず」お断りの文例】
- 残念ではございますが、貴社のご期待に添えず納品を辞退させていただきます。ご容赦ください。
- 不本意ながらご期待に添えずご容赦ください。お日にちまでにご連絡をいただけなかったためキャンセルいたします。
- すでに定員に達しましたので、ご期待に添えず申し訳ございません。またの機会にご応募ください。
お祈りメール
書類選考や面接の結果採用をしないという通知に、入社したいという希望を叶えられなかったという意味で「ご期待に添えず」が入る場合があります。本文の結びの文で「今後の活躍を祈る」文章が入ることから、お祈りメールの名でもよばれていますね。
採用できなかった方は、今後その企業のサービスや商品を使う消費者になる存在です。無礼な印象を与えた時には、今後に差し支えが出ることも。相手の不満や怒りを和らげるために、採用を見送る(入社を断る)ことへのクッション言葉として使用しています。
【お祈りメール 文例】
先日は当社の求人採用にご応募いただき、誠にありがとうございました。厳正なる審査の結果、残念ながら採用を見送ることになりました。ご期待に添えず心苦しい気持ちでございます。末筆ながら、あなた様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
「ご期待に添えず」と「ご期待に沿えず」どちらを使う?
「ご期待に添えず」には、「添えず」と「沿えず」の2つの表記が見られます。「ご期待に添えず」・「ご期待に沿えず」のいずれの場合も、相手からの期待には応えられないことを示しています。どちらの漢字表記を使っても意味合いは変わりません。好きな方を使うと良いでしょう。
「添えず」は前項で記載した通り、希望や目的が叶えられないことという意味です。一方「沿え」は、基準となるものから離れないようにしてという意味です。「期待に沿えず」という言い回しの場合、待ち望んでいた結果とはかけ離れてしまうことを示しています。