「異議を唱える」とは?
「異議を唱える」(いぎをとなえる)とは、相手の主張と異なる主張をすること、相手の意見に反対する意見を述べることを意味する言葉です。
意味をより深く理解するために、「異議」と「唱える」に分けて、それぞれに検証していきましょう。
「異議」
「異議」には、次の二つの意味があります。
- 対象とする意見や考えに対して、不服であったり、反対であったりすること。
- (法律用語)他者の行為、あるいは裁判所や他の国家機関の処分に対して不服を申し立てること。
「異議を唱える」の「異議」は、1.の意味で用いられます。
「唱える」
「唱える」は、大きく分けて三つの意味をもちます。
- 特定の文言や経文などを声に出して言ったり読んだりすること。
- 大きな声で言ったり、叫ぶこと。
- 人に先立ってなにかを言うこと、主張すること、提唱すること。
「異議を唱える」の「唱える」は3.の意味で用いられます。
「異議を唱える」の使い方
「異議を唱える」という表現は、かなり堅苦しく感じるかもしれませんが、法律用語を除けば、その内容は実にありふれたものといえます。
夫婦や親子など、家庭生活のなかでは頻繁に、「異議を唱えあっている」ことでしょう。たとえば、「いやだよ、そんなこと」「疲れているから、今日は外出したくないの」などの意見も該当します。
一般社会においても、「異議を唱える」場面はよく見られます。異議を唱える相手は、必ずしも個人とは限りません。組織の在り方や方針などについて「異議を唱える」場合もよく見られます。
「異議を唱える」の文例
- 役員会に出席した鈴木専務は、商品のターゲットを若者に絞るという会社の方針に対して、異議を唱えた。
- 消費税が上がって家計が苦しくなるため、夫の小遣いを少し減らすと主張する妻に、夫は、逆に小遣いも消費税分アップすべきだと異議を唱えた。
- 日本人は協調や和を美徳と考えがちだが、自分の意見をはっきりと持ち、時に異議を唱えることは、事態や状況の活性化に貢献する場合が多い。
「異義」の同音異義語について
「異議」の同音異義語である「異義」や「意義」は、漢字も似通っているため、混同されやすい言葉です。この機会に違いをしっかりと確認しておきましょう。
異義
「異義」とは、異なった意味を表す言葉です。漢字は「異議」とよく似ていますが、「義」と書く場合には、単に意味が違っているというだけで、議論や意見の対立を呼ぶという意味はありません。
「異議と意義は同音異義語です」のように用います。
意義
「意義」には、大きく分けて次の二つの意味があります。
- ある言葉によって表される内容、意味、概念。(文例)…「文化」という言葉には、「文明」と同様の意義がある。
- ある事柄にふさわしい値打ち、重要性、価値。(文例)…昔のオリンピックは、参加することに意義がある、と言われたものだ。昨今のオリンピックときたら、商業主義に走ってしまい、それこそ開催する意義を疑ってしまうよ。
「異議を唱える」の類語
「異論を呈する」
異論を呈するとは、相手と異なる自説、持論を提示することです。
【文例】
- 生徒たちの自主性を伸ばすために校則は少なくすべきだという校長に対し、教頭は、細かな校則を守らせることは生徒たちの協調性を高めると異論を呈した。
「反論する」
反論するとは、相手の意見、主張、非難に対し反対の意見を述べることです。
【文例】
- 中村氏は社長に就任して以来、次第に独裁色を強め、今では自分に反論する者を冷遇するようになった。
- 異なる意見や反論がさかんに飛び交う組織は、一見、まとまりがないように見えるが、実はその柔軟性によって発展していくことが多い。