「5億年ボタン」とは?意味や使い方を元ネタを含めてご紹介

「5億年ボタン」をご存知でしょうか。ある時期にインターネット上で話題となり、さまざまな議論を呼び起こした有名な思考実験のひとつです。ご存じない方も、この機会にご自身ならどうされるか考えてみてはいかがでしょうか。今回は「5億年ボタン」について詳しくまとめます。

目次

  1. 「5億年ボタン」とは?
  2. 「5億年ボタン」の使い方
  3. 「5億年ボタン」の元ネタ
  4. 「5億年ボタン」の考察

「5億年ボタン」とは?

「5億年ボタン」とは、主にインターネット上で有名となった架空のボタン装置、およびそれを基にした思考実験の名称です。

詳しくは後述しますが、元ネタは週刊誌にて掲載されていた漫画作品『みんなのトニオちゃん』であり、「5億年ボタン」はその作品内に登場する装置の俗称です。

しかし、現在では「5億年ボタン」という概念自体が一種のインターネットミームとして拡散しており、元ネタとなった作品を知らずとも、そのボタンの話は知っているという方も多数存在します。

押すと何が起きるのか?

「5億年ボタン」自体は、通常は四角い台にシンプルな押しボタンがついただけの何の変哲もないボタン装置として描かれます。決して特別な装置につながっているわけでもなく、機械的な仕掛けもないようです。

しかし、このボタンを押すことにより、以下のような不可思議な現象が引き起こされます。

  1. 押した人間は、何もない無機質な空間にワープする。
  2. その空間で、5億年間、ただ「生きる」。その間、意識は常に明瞭なまま、いかなる手段によっても死ぬことはできない。
  3. 5億年が過ぎると、5億年分の記憶が消され、身体も時間もすべて元通りになって元の場所(ボタンを押した直後)に戻る。
  4. ボタン装置から100万円が出てくる。

「押す」?「押さない」?

「5億年ボタン」を押した人間は、何もない(原作では、無限に広がる地面や重力などはある)空間で5億年という膨大な時間を、狂うことも死ぬこともできず過ごさなければなりません。その恐ろしさと絶望は、常人の想像力を超えるものです。

ただし、5億年が終われば、5億年分の記憶・時間・身体の変化があたかも「なかったこと」のように扱われるため、考えようによっては「一瞬かつノーリスクで100万円を入手できる」とも考えられます。しかもこのボタン、何度押してもよいのです。

このような装置が存在した場合、あなたなら押しますか?それとも押しませんか?という問いかけとそれにまつわる議論が、「5億年ボタン」の思考実験です。

「5億年ボタン」の使い方

「5億年ボタン」が取りざたされるのは、主にネット上です。しかし、ユニークでかつ想像力を刺激する話であることから、あまりネット文化に親しみのない層でも話題にされ、議論されることがあります。

「押す」「押さない」の議論はかなりし尽くされている側面もあるため、多少ルールを改変して、「もし何かひとつ暇つぶしの道具をその空間に持ち込めるのなら?」などの話題が提出されることもあり、今なお話題となることの多い思考実験です。

さらに近年では、「5億年ボタン」から派生したと思われる、「1億円もらえるが、一生肉が食えなくなるボタン」などの架空装置が発案されることもあり、「5億年ボタン」の影響力の大きさがうかがえます。

用例

(A)

5億年ボタンがあれば無限に金が稼げる。一瞬で100万円稼げるなんてすごいな!

(B)

私なら5億年ボタンなんて絶対に押さない。でも、一か月くらいならなんとか…。

(C)

もしインターネット環境とゲームが持ち込めるなら、押してもいいかな、5億年ボタン。

「5億年ボタン」の元ネタ

「5億年ボタン」の元ネタは、マルチクリエイター・菅原そうた氏によるCG漫画作品『みんなのトニオちゃん』に登場するエピソード『アルバイト(BUTTON)』です。

『ドラえもん』のキャラクターを下地にしたと思しきシュールな造形の登場人物と、ダークでシニカルな作風が特徴の、『みんなのトニオちゃん』は週刊誌「SPA!」にて2年間連載されました。

「5億年ボタン」というフレーズがあまりにも有名であるため、上記作品名、同エピソード名も「5億年ボタン」という俗称で呼ばれることが珍しくありません。

『アルバイト(BUTTON)』あらすじ

楽で時給のいいアルバイトを探していた「スネ郎」とその友人「ジャイ太」は、舎弟である「トニオ」から、「一瞬で100万円稼げるバイト」を紹介される。それが、ボタンを押して何もない空間で5億年間過ごすというもの。

説明を受けたジャイ太がまずはボタンを押す。すると、すぐに装置から100万円が出てきて、驚くジャイ太とスネ郎。ジャイ太は「何もしていない」と言う。それを見ていたスネ郎が、今度は自分がとボタンを押すと、「5億年」がスタートする。

さまざまな手段で退屈を紛らわそうとするスネ郎だが、残された時間は途方もない。考えることをやめても、一秒一秒がくっきりと意識に刻まれる。やがてスネ郎は、「何か」を悟り、宇宙と調和し…そして5億年目、元の世界へと帰る。

記憶は消されるため、「何もしていない」のにスネ郎は100万円を手にしたことになる。やはり何も起こらないじゃないかと、彼は目の前のボタンをさらに連打する。

「5億年ボタン」の考察

「5億年ボタン」をどのように考察するか、押すか押さないかは個人によって大きく意見が分かれており、その議論内容は百家争鳴の感があります。

「押す」派の主な主張としては、最終的に記憶が消されるのであれば何もなかったことも同じなので、タダで100万円ゲットできる、というものがあります。他に、「ずっと健康ならば苦痛も苦悩もないから問題ない」という見方も。

「押さない」派では、記憶がなくなるとは言っても実際に5億年過ごす自分がいなくなるわけではなく、その絶望感は計り知れないという主張がよく聞かれます。

さらには、記憶の連続性が途切れるということは個人の連続性が途切れるということなので、そもそも判断しようがないという主張もあります。みなさんは「5億年ボタン」をどのように考察されますか?

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