「素性」とは?意味や使い方をご紹介

「素性」(すじょう)とは、血筋や家柄、身元や出所などを意味する言葉です。就職や結婚などのおりには、その是非は別として、人柄や能力などとあわせて「素性」を問われることもまだあるようです。今回は「素性」の意味と使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「素性」とは?
  2. 「素性」の使い方
  3. 「素性」と「身許」について

「素性」とは?

「素性」(すじょう)は、大きく分けて下の三つの意味をもつ言葉です。辞書的には三項目に分かれますが、概括すれば、どの項目も、その対象(人物、ときに物)の生まれ育ち、出所ということに集約されるといえます。
 

  1. 血筋、生まれた家柄、生まれ育ちの境遇
  2. 身元、経歴
  3. (おもに物の)出所、由来、由緒。
「素」という漢字には、もって生まれたまま、ありのまま(例:素顔)という意味や、もと、もとになるもの、はじめ(例:素因)という意味が含まれます。

「性」という漢字には、うまれつき、うまれながらの性質、さが(例:性格)という意味、物事の傾向や本質(例:性能)という意味が含まれます。字義からも、「素性」という言葉の意味が類推できますね。

「素性」(そせい)の意味

「素性」は、ごくまれにですが、(そせい)と読むケースがあります。その場合は、本性、本来の性質という意味をもちます。

「素性」の使い方

「素性」という言葉自体には、上記のような意味しかありません。しかし、その使い方、使われ方によっては、ネガティブなイメージを持つ言葉になることがあります。

本来、人であれ物であれ、今そこに存在している状態こそが「その人」「その物」すべてである、といいたいところです。

しかし、社会の価値判断のなかには、「血筋」「家柄」「経歴」「由緒」などの、いわゆるラベルのようなものがいまだ幅を利かせている場合もあります。

このような背景もあり、「素性」という言葉は、「素性を隠す」「素性を明かす」「素性を暴く」など「他人に対して隠しているもの、明らかにしたくない事情のある経歴」といったネガティブなニュアンスで使われることが多いようです。

「素性」の文例

(A男)

昔は若気の至りで、暴走族のリーダーをやっていたんだ。責任ある仕事をまかされている今、昔の仲間に素性を明かされることを想像すると、冷や汗が出るよ。

(B子)

来週、彼の両親に婚約者として紹介されることになったの。親に説明するからと、今になって彼が私の素性を詳しく聞いてくるの。信頼してくれていないのかと、ショックだわ。

(C男)

親の遺品整理をしなくてはならないんだけど、骨董品が山のようにあるんだ。素性を調べて売るのは大変な仕事だろうなあ。

「素性」と「身許」について

「素性」の類語として、「身許(身元・みもと)」が挙げられます。その意味は、①対象となる人の出生や経歴など。②対象となる人の一身上の事柄。「素性」とほぼ同義ですが、使われ方を検証すると、わずかな違いが見えてきます。

「身許」の用法でよく見聞きするのが、事件などの被害者や容疑者についての報道や記事における「身許の判明」「身許確認」などではないでしょうか。「素性の判明」「素性確認」とはほとんど言いません。

つまり、「身許」は「素性」にくらべて、対象となる人物の現在を示すデータがより重視されている言葉だといえそうです。具体的に言えば、性別、年齢、氏名、加えて、住所、勤務先などの情報です。

たとえば、ある殺人事件があったとします。警察が被害者について知りたいのはその人物どこの誰なのか、であり、どんな血筋や家柄、経歴であったかではありません。

犯人についても同様で、まずは「誰」かを特定せねばなりません。その後のプロセスで、事件の究明のために、犯人の素性(血筋、経歴や生い立ちなど)が必要となってくるとしても、まずは「身許」です。

また、「身許引受人」とはいっても「素性引受人」とはいいません。この用例から、「身許」には、その人の存在そのものも含む場合があることがわかります。


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