「メロメロ」とは?
「メロメロ」には、「魅了されている様子」「炎が燃えている様子」「泣く様子」など、いくつかの意味があります。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
魅了されている様子
「メロメロ」は何かに魅了されてしまい、夢中になっている様子です。すっかり何かのとりこになっていて、もう他には目をくれない状態です。
理性も分別も失っていて浮足立っていることもあります。恋愛がらみでは、しまりがなく骨抜きにされていることも。
色恋沙汰に使うことが多いのですが、他のことにも使えます。お酒に酔っぱらっているさま、趣味やアクティビティを夢中で楽しんでいるさま、ペットや孫娘などを溺愛しているさまにも適用可能です。
炎が燃えている様子
現代ではあまり使われませんが、炎が燃えている様子も「メロメロ」で表せます。擬態語の類ですので感じ方は人によりますが、「炎の舌先がめろめろ舐めるように燃える」さまがイメージされますね。現代では「めらめら」という方が一般的です。
同じように炎が燃える様子を表す言葉には「ぼうぼう」がありますが、「ぼうぼう」が何が燃えているのかを重視しているのに対して、「メロメロ」は炎の燃え方に注目して用いられることが多いようです。
泣く様子
こちらも現代ではほぼ使われない意味ですが、「メロメロ」で泣く様子を表すこともあります。
泣く様子の表現はいくつもありますが、中でも「メロメロ」は情けない泣き方に使われました。幼い子供が些細なことで泣いてしまいような状況です。現代風に言い換えれば「めそめそ」ですね。
「メロメロ」の使い方
「メロメロ」は、主に「メロメロになる」「メロメロな様子」「メロメロにする」などの形で、誰かの状態を表すために使います。
現代では、基本的に「魅了される、とりこになる」という意味でのみ使われています。燃える様子や泣く様子には使いません。これらの様子を表したい場合には、それぞれ「めらめら」「めそめそ」を使ったほうが通じやすいでしょう。
また、若い人の間で「メロメロ」はもはや死語であるとも言われています。受け手の年齢層によっては、古臭いと思われる、あるいは意味が通じない可能性がありますのでご注意ください。
例文
- おじいちゃんたら、初孫にすっかりメロメロで、今日も朝からそわそわしてたのよ。
- 一目見ただけで心奪われ、メロメロになってしまった。
- 彼がメロメロになっているという歌手のコンサートに誘われた。
- 宴会場にはメロメロに酔いつぶれたおじさんたちが放置されていた。
- メロメロと燃え広がる。
「メロメロ」の類語
でれでれ
「メロメロ」よりもさらにだらしない態度が「でれでれ」です。「メロメロ」も夢中になっていて締まりがない様子ですが、「でれでれ」はさらに深く魅了されてしまった状態です。
特に、男性が女性にのぼせ上っていることに使います。いわゆる「鼻の下が伸びている」様子ですね。女性側でも、好意ゆえに男性にだらしなく甘えたり、恥ずかしさに照れたりする様子を「デレデレ」「デレる」と言うことがあります。
また、オタク用語「ツンデレ」において、「ツン」が少なく、「デレ」が優勢なことという意味でも「デレデレ」が使われます。愛想のないツンとした態度がなく、相手に甘えるデレの態度がことさらに際立つというニュアンスです。
ラブラブ
「ラブラブ」は夫婦や恋人と互いに深く愛し合っていることです。「メロメロ」は一方的に好きというだけなので、相手に嫌われていたり、そもそもお互いの面識がない場合にも使うことがあります。
一方、「ラブラブ」は一方通行ではなく双方向に気持ちが行き来します。「お互いにメロメロになっている」とも言えそうですね。
傍から見ていてほほえましいくらいの水準が「ラブラブ」です。周りの人をイラつかせるような、「目の毒」なレベルになると「イチャイチャ」や「乳繰り合う」などと言われてしまうかもしれません。
「メロメロ」の由来
「メロメロ」は昔からある古い言葉です。『忠臣蔵』のような浄瑠璃にも使われており、どうやら鎌倉時代にはすでに使用されていたようです。由来としては、果物の皮をむく時の擬態語ではないかと言われています。
なお、「メロドラマ」の「メロ」はギリシア語で歌を意味する「Melos」に由来するので、ここまでご紹介してきた「メロメロ」とは無関係です。そもそも「メロドラマ」自体18世紀の産物なので、時代が違いすぎますね。