「やばい」の意味
「やばい」には以下のような意味があります。
- あぶない
- まずい、ダメ
- すばらしい
- 程度が大きい
たとえば、「あの遊園地、ヤバかったよ」と誰かが言った場合、発言者が楽しそうな顔をしていれば「遊園地で楽しい時間を過ごせた」という意味になりますが、つまらなそうに言っていれば「あの遊園地ではまったく楽しめなかった」という意味になります。
「あの遊園地、ヤバかったよ」という文章だけでは、どちらの意味なのか判断する手がかりがありません。前後に、発言者の様子についての描写があればよいのですが、「やばい」は基本的には口語向きの言葉だと考えた方がよいでしょう。
「やばい」の例文
- やばい、売り切れじゃん。
- このアニメのこのシーンがやばいんだよ。
- あのバンドのファンの人たちって、なんかやばいよね。
- やばい! 面白そう!
- この人たちの漫才、やばすぎる!
- とりあえず試してみて、やばそうだったらやめてもいいんじゃない?
- イベントがやばいくらい盛り上がってる。
「やばい」の変遷
「やばい」の本来の意味はどのようなものだったのでしょうか。「やばい」の歴史を見ていきましょう。
「やばい」のもともとの意味は「あぶない」です。それも、少し特殊な状況に置いての「あぶない」を意味していました。
「やばい」が指す「あぶない」とは、「逮捕されるかもしれない」という意味です。
「やばい」はもともと、香具師やヤクザのようなアウトローな人々の間で使われる言葉でした。彼らは違法な商売でお金を稼ぐこともあります。
警察の捜査が近づいたり、同業者が逮捕されたりすると、「自分もそろそろ逮捕されてしまうかもしれない」という危機感を抱きます。この危機感が「やばい」の本来の意味でした。
やがて、「やばい」はアウトローに限らず、「あぶない」全般を指す言葉となります。さらに、意味の近い「まずい、ダメ」を意味するようになりました。つまり、「やばい」はもともとは悪い意味の言葉だったのです。
その「やばい」がなぜ「すばらしい」のようないい意味でも使われるようになったかは定かではありません。「やばい」が「すばらしい」の意味で使われ始めたのは1980年代で、広く一般で使われ始めたのは21世紀に入ってからだと言われています。
こうして「やばい」がいい意味でも悪い意味でも使われるようになると、次第に良し悪しは関係なく、たんに「程度が大きい」という意味でも使われるようになりました。
「やばい」の語源
「やばい」の語源については「野馬」と「矢場」の二つの説があります。
「野馬」説
「野馬」とは野生の馬です。野生の馬は人になれた馬と違い、蹴ってきたりしてあぶないので、そこから「あぶない」という意味の「やばい」が生まれたと言われています。
「矢場」説
「矢場」とは、江戸時代に流行した、弓矢を使った射的場です。この矢場には実はもう一つの顔がありました。
「矢場」では矢を渡してくれる係の女性がいました。この女性は美人が多かったそうです。実は、この女性たちは売春婦で、矢場とは売春をカムフラージュする場所だったと言われています。
江戸時代、吉原などの幕府公認の遊郭以外での売春は禁じられていました。当然、矢場を隠れ蓑にした売春も違法行為に当たり、摘発の対象となります。
違法行為をしている者たちの、「逮捕されるかもしれない」という危機感を表す言葉が「やばい」であったという説です。
「やばい」の英語
「やばい」と全く同じ意味の英語はありません。そのため、「あぶない」という意味の「やばい」だったら"dangerous"、「すばらしい」という意味の「やばい」だったら"amazing"と、意味によって使うべき単語が変わってきます。
重要なのは、自分が「やばい」で本当は何を表現したいのかを、はっきりと認識しておくことです。そして、「やばい」の裏に隠された「あぶない」「ダメ」「すごい」といった言葉に相当する英語を使う必要があります。
自分でも意味がよくわかっていない「やばい」を英語に訳すことはできません。無理に訳したとしても、それでは意味が正確に伝わらないでしょう。
「やばい」まとめ
「やばい」は、その意味が状況次第で両極端に変化するあいまいな言葉です。実は、その「あいまいさ」こそが、多くの人に好んで使われる理由なのかもしれません。
人の気持ちは、自分自身でも常にはっきりとわかっているものではありません。だからこそ、あいまいな「やばい」という言葉でしか表現できない気持ちがあるのでしょう。