「バイブス」とは
「バイブス(vibes)」は英単語に由来するカタカナ語です。楽器の「ヴィブラフォン(vibraphone)」の短縮系として、“vibes”を用いることがありますが、ここでは触れません。
「バイブス」の語源
「バイブス」の語源は、“vibration”の短縮系である“vibes”です。“vibration(ヴァイブレーション)”には「振動」や「震え」のほか、「心の動揺」や「精神的影響力」「霊気」「(直感的に感じられる)雰囲気や印象」といった様々な意味があります。
ここから、「バイブス」は「雰囲気」や「気配」という意味で使われるようになりました。
「バイブス」の由来
「バイブス」はもともと、英語圏のミュージシャン(特にレゲエやヒップホップシンガー)が多用するスラング(俗語)として広まりました。その際「振動」や「動揺」の意味は薄れ、「ノリ」や「フィーリング」という側面が強まりました。さらにはアーティストが発散する「気合い」や「霊気」という意味を含む言葉として定着しています。
「バイブス・カーテル」とは
「バイブス(ヴァイブス)・カーテル(Vybz Kartel)」はジャマイカ出身のレゲエ・ミュージシャンです。本名は「アディージャ・パーマー(Adidja Palmer)」といい、全くの無名から始まって、2000年代初頭にはジャマイカン・ダンスミュージックの国際的なスターにのし上がった人です。
その名前の由来は、南米の麻薬王「パブロ・エスコバル」のドラッグカルテル“Vibes Cartel”であるそうです。バイブス本人も、その名に負けない破天荒な人間性の持ち主のようで、2011年におこした殺人の罪により、終身刑が求刑され、現在は獄中生活を送っています。
日本における「バイブス」
若者言葉としての「バイブス」
日本で「バイブス」という言葉が使用されるようになったのは、ごく最近のことです。詳しい来歴は不明ですが、上記のように英語圏のレゲエ、ヒップホップアーティストが使用し、その発言が日本語で翻訳されて受け入れられる過程で、自然に導入されてきたものと思われます。
「バイブス」の流布
「バイブス」が世間一般に認知されるようになったのは、2013年6月放送の「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ)において、モデルの今井華が今流行りの「ギャル語」として取り上げたことがきっかけとされているようです。
「バイブス」と「ヴァイブス」
ちなみに若者言葉の“vibes”を日本語で表記する場合には「バイブス」とされるのが一般的です。「ヴァイブス」という表記はあまり見られず、発音も「baibusu」という風にされているようです(“vibration”を「ヴァイブレーション」、“violin”を「ヴァイオリン」とする表記は一般的に見受けられます)。
「バイブス」の用法
「バイブス」は「良い(悪い)」ものに対して使われたり、「上下」したりするものとして表現されるようです。「この曲超好き。めっちゃいいバイブス」とか、「もっとバイブス上げてこ〜」、「なんかバイブス下がるわー」といった風に使用します。
上記の例からわかる通り、ほぼ「ノリ」や「テンション」の同義語として使用されているようです。またスラングに由来する言葉であることもあり、当然のことながら公の文書に対して使用することは適しません。
バイク雑誌「VIBES」
「VIBES(バイブズ)」は、ハーレーダビッドソン専門のバイカー雑誌の名称でもあります。本誌は1991年創刊の老舗雑誌です。また、毎年一回、毎回別の都道府県で行われるイベント「バイブズミーティング」には全国のバイク(ハーレー)好きが集まることで知られています。
まとめ
このように、「バイブス」は“vibration”という言葉から派生して、様々な場所で使われている言葉です。中でも現在若者言葉として使われている「バイブス」は、音楽と関わりの深い用語として、内外のミュージシャンたちが使用することで今に至っています。
なかなか言葉では伝えづらく、実際にどんな「雰囲気」なのかは体感してみなければわからないということもあるでしょう。なので、ここでは新旧の具体例をいくつか、挙げておきたいと思います。