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「受ける(うける)」の意味は他動詞と自動詞で違う!
「うける」と聞いた時にまず思い浮かぶのが「受ける」という言葉でしょう。小学生でも知ってる簡単な単語ですが、実はこの言葉、自動詞として使うか、他動詞として使うかで全く意味が変わってきます。
自動詞とは「~を」という目的語を必要としない言葉です。「犯人が捕まる」「光が当たる」「お昼ご飯が残る」など、基本的には、主語と述語のみで成立します。
一方、他動詞は「~を」という目的語が必要です。「犯人を捕まえる」「光を当てる」「お昼ご飯を残す」など、目的語をつけないと文章が成立しません。
他動詞:「受ける」とは?
他動詞:「受ける」の意味
「受ける」は一般的には他動詞として使われることが多い言葉です。その意味は多岐にわたりますが、代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- うけとる、うけとめる
- 他からの作用、働きかけが自分に及ぶ
- 自分に向けられた行為を受け入れる
- 与えられる
- 相手の言うことを認める
- うけつぐ
- ひきうける
他動詞:「受ける」の使い方
- キャッチャーミットでボールを受ける。
- うちの業界は新しい法律の影響を大きく受けた。
- あさって、試験を受けるんだ。
- 彼は若くして賞を受けることとなった。
- あの人の言い分を真に受けることないよ。
- 亡き恩師の遺志を受けて、この施設を作りました。
- 詳細はまだ分からないが、依頼を受けることにした。
自動詞:「受ける」とは?
自動詞:「受ける」の意味
一方、「受ける」を自動詞として使うと、次のように全く異なる意味になります。
- 人気、評判などを得る
- 面白がられる
自動詞の「受ける」には、他動詞に見られた「受け取る」「受け入れる」「影響を受ける」のような意味はありません。
自動詞:「受ける」の使い方
自動詞の「受ける」は、「受けが良い」とも言い換えられるでしょう。下の例で言えば、「受けが良い味付け」「受けが良いネタ」と表すことができます。
- こういう味付けは若者にも受けると思うよ。
- 幅広い年代に受けるネタを考えるのは大変だ。
自動詞の「受ける」は「ウケる」と表記される場合も多くありますが、少し砕けた表現です。
- こうするともっとウケるよ。
- 渾身のギャグがみんなにウケる。
「うける」は「受ける」だけじゃない
「うける」は、「受ける」以外に、「請ける」「享ける」とも書けますね。どちらの漢字を用いる場合も、「受ける」の意味の一部をクローズアップしたニュアンスです。
「請ける」
「請ける」は、「受ける」が持つ意味の内の「引き受ける」というニュアンスが強い言葉です。意味は、「仕事を引き受ける」「代金を支払って、取り戻す」。後者は主に、質に入れた品をお金を払って取り戻す際に使われます。
【例文】
- この前請けた案件の進捗が芳しくない。
- 金が工面できたので、質に入れた父の形見をようやく請けだした。
「享ける」
「享ける」は、「受ける」という意味の中でも「与えられる」というニュアンスが強く表れている、「天から受ける」という意味の言葉です。
【例文】
- 生を享けたからには、何事かを成し遂げたいものだ。
- 彼女は天から享けた才能を存分に発揮した。
「うける」の語源
「うける」と読む漢字はいくつもあります。しかし、その語源は同じものです。「うける」は古語では「ウク」と表記しました。この「ウ」とは、「内」を意味します。
「外から内側に取り入れること」が「うける」の語源です。このニュアンスは現代の「うける」にも受け継がれています。
その「うける」の使い方は正しい?
さて、最近では「うける」を「おもしろがられる」という意味で使うことが増えてきました。お笑いのネタやギャグ、作品や商品など、自分が「おもしろい」と思って発信したことが、他人にも「面白い」と受け入れてもらうことを「ウケる」と表現します。
ですから、「ネタがウケた」と言えば、「ネタが面白いと受け入れてもらえた」と、ネタを披露した本人が発言したことになります。また、ある漫画が面白いと多くの人に受け入れられているという客観的な評価として、「この漫画が今ウケている」と言うこともあるでしょう。
「ウケる」は基本的には「他人が面白がる」ということです。そのことを踏まえて、次のような表現について、どう思われますか?
(A)
この動画、超ウケる
今では多くの人がこのような表現を当たり前のように使っています。しかし、この発言は動画を作って発信した人のものでも、客観的な評価でもありません。動画を見て「面白い」と感じた、受け手側の発言です。
本来、受け手側はこのような状況では、「この動画、超おもしろい」ということで、「面白い」という自分の感想を表すべきところです。
「ウケる」と「面白い」では、意味が異なります。「ウケる」はあくまでも「他人が面白がってくれる」という意味です。しかし、近年では、「ウケる」という言葉で「自分が面白いと感じた」と表現する例が散見されます。
「うける」まとめ
時代の流れや社会の変化を受けて、「うける」の意味も少しずつ変化していきます。言葉は変化するものだということを受け入れ、「うける」という言葉を次の世代に受け継いでいくべきかも知れませんね。