「とっぽい」の意味
「とっぽい」とは「ずる賢い人」や「気障(キザ)で生意気な人」「抜け目がない人」を指す言葉です。
古くは明治時代から使われており、30~40年前までは日常会話でも用いられていました。現在ではあまり使われなくなっており、いわゆる「死語」のひとつとして捉えられています。
昭和の時代は「不良」に対して使われることが多く、1980年代にヒットしたロックバンド「横浜銀蝿」の名曲「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)」の歌詞にも「とっぽい兄ちゃん」というフレーズがあります。
「とっぽい」の使い方
「とっぽい」は先述のとおり死語なので、40代以上の方ならともかく、それよりも若い世代には意味が伝わらない可能性があります。「とっぽい」を使う際は、相手の年代を意識して用いるようにしましょう。
また「とっぽい」は男性に対して使うことが多く、女性に対してはほぼ使われていません。
使用例
(A)
今年の新人に、とっぽい野郎がいたな。
(B)
私、とっぽい人はちょっと苦手なのよね。
(C)
俺も昔は、とっぽい兄ちゃんと毎日ケンカに明け暮れていたもんさ。
「とっぽい」の由来・語源
「とっぽい」の由来・語源は諸説ありますが、有力なのは「玄人(くろうと)っぽい」を略したという説です。
「素人のくせに、あたかも玄人のように振る舞っている」様子から「背伸びしていて生意気」といった意味や「ずる賢く立ち回っている」「抜け目がない」という意味が派生しました。
「とっぽい」の類義語
「とっぽい」を「ずる賢い」というニュアンスで使った場合の類義語には「狡猾」「姑息」「狸」といった言葉があります。
狡猾
「狡猾(こうかつ)」は「ずるく悪賢いこと」を意味する言葉です。悪いことに対して使われることが多く、基本的にポジティブな意味では使われません。また「とっぽい」とは異なり、女性に対しても用いられます。
姑息
「姑息(こそく)」とは「その場しのぎで間に合わせる」という意味ですが、近年では「卑怯な様子や手段」「正々堂々と取り組んでいない様子」といったような意味でも使われています。
狸
「狸(たぬき)」とは、「表面上はとぼけているが、裏では悪賢く策略をめぐらせている人」のことを言います。
「狸親父」や「狸のような人」といったように使われます。昔話などでは狸が人を化かすシーンが度々描かれていますが、まさにそのような狸のイメージが反映されている表現です。
気障
「気障(きざ)」とは「言葉づかいや態度・服装などが気取っていて、嫌な感じにさせる」様子のことを言います。このような人物に会うとイライラして「気に障る」ことから、「気障り⇒気障」と言われるようになりました。
地域によって異なる「とっぽい」の意味
「とっぽい」は地域によって意味が異なるケースがあります。例えば「間の抜けた人」という意味で使われていたり、「田舎臭い人」といったニュアンスで用いられている地域もあります。
本来は「玄人っぽい⇒とっぽい」という語源を持つ言葉ですが、まるで方言のように地域によって使われ方が異なるのは興味深いですね。