「二次創作」とは?
「二次創作(にじそうさく)」とは、すでに存在している作品や表現を下敷きとして、派生的に作られる創作物や、そのような作品を創作する行動そのものを指します。主に、同人誌の分野で使われる言葉です。
すでにある作品をもとにしたパロディーの同人誌や評論、小説、コスプレなどがこれに当たります。また、原作者が監修しているメディアミックスでの作品(他の作家が、原作者の絵に似せて描いた漫画など)も二次創作に当たることがあります。
「二次創作」例文
- あのライトノベルがアニメ化されて、大きな反響を呼んでから、急に二次創作の同人誌が増えたね。
- 応募者がとても多いあの小説投稿サイトでは、原則として、二次創作の投稿が禁止されている。
二次創作と著作権
著作権の観点から考えると、著作権を持つ者の許可を得ないで二次創作を行うことは、本来は許されません。しかし、実際のところは、著作権の持ち主(作者)の許可を得ていない二次創作も多いようです。
ところが、これらの二次創作の問題が、訴訟にまで発展することはほとんどありません。黙認されているのには、次のような理由があると考えられます。
黙認することによるメリットがある場合
二次創作の多くはその作品に対する愛情から行われているので、二次創作を通じてその作品の愛好者同士がつながるというメリットがあります。
また、二次創作された作品をきっかけに、元の作品に興味を持つ人が出て来るというメリットもあります。そのため、黙認されていることがあるようです。
黙認しないことにデメリットがある場合
訴訟したとしても、費用や手間に見合うだけの損害賠償が見込めずに、赤字になる可能性があるということがあります。
さらに、二次創作されたものは発行されている絶対数が少なく、目に触れる機会も多くはありません。そのため、社会的な影響がほとんどないことから、目をつぶっているという側面もあります。
二次創作と創作ガイドライン
現在では、二次創作を行うことに対して、著作権を持つ者から公式に「創作ガイドライン」が提示されることがあります。
そして、そのガイドラインの範囲内ならば、二次創作や非営利のファン活動を「許可」する(黙認ではなく)という作品も増えてきています。
ガイドラインの実例
ガイドラインを設けて、その範囲内で二次創作や非営利のファン活動を許可している作品には、次のようなものがあります。
- Ib(2012年公開のフリーゲーム)
- UNDERTALE(2015年リリースのRPG)
- アズールレーン(中国で製作されたシューティングゲーム)
- 東方プロジェクト(同人サークル「上海アリス幻樂団」製作の同人作品群)
- VOCALOID(ヤマハ開発の音声合成技術とその応用製品)
- 艦隊これくしょん(DMM.comが配信している艦隊育成型シミュレーションゲーム。一部キャラクターには二次創作の制限あり)
- けものフレンズ(けものフレンズプロジェクトによるメディアミックス作品)
- 刀剣乱舞(PC/Flash用のブラウザゲーム)
- キズナアイ(バーチャルyou tuber)
二次創作が訴訟に発展したケース
訴訟に発展した二次創作の事件の1つに、「ときめきメモリアル・アダルトアニメ映画化事件」というものがあります。
「ときめきメモリアル」は、コナミ(現・コナミホールディングス)が発売した恋愛シミュレーションのゲームソフトです。
これを、「シェーン」という製作者が、コナミの許可を得ずに、登場人物の女子高校生を主人公にしたアダルトアニメに二次創作し、販売しました。
コナミは、清純な主人公やゲームソフトのイメージを著しく損ねるものだとして、販売の差し止めや慰謝料支払いなどを求め、提訴しました。東京地方裁判所は、被告側におよそ230万円の支払いを命じました。
二次創作と二次的著作物
「二次創作」と似た言葉に、「二次的著作物」というものがあります。「二次創作」は、一般的に使われている言葉ですが、その定義はあいまいなところがあります。それに対し、「二次的著作物」という言葉は、著作権法で規定された法律用語です。
二次的著作物は、ある著作物を原案として、新しく創作された著作物のことです。外国の小説を翻訳したり、小説を映画化したり、もともとあった曲を編曲したり、というような場合があります。このような創作を行う場合は、原作者からの許諾が必要になります。
二次的著作物には、原作と二次的著作物、両方の著作者がいることになります。そして、両者がともに著作権を保護されています。