「チクる」とは
「チクる」の意味
「チクる」とは「告げ口をする・密告する」という意味の俗語で、「ちっくる」とも言われます。また、「チクる」は「チクル」「ちくる」と表記されることもあります。
「チクる」は1980年代ころの不良言葉で、当時の若者たちを中心に広まりました。死語のひとつに数えられることもありますが、今も使われています。
「チクる」の由来
「チクる」の由来には諸説ありますが、有力な説はふたつあります。一方は、「口(くち)」の倒語「ちく」を動詞化して「チクる」というようになったという説、もう一方は、「チクリと(嫌味を)言う」というときの「チクリ」が変化したというものです。
「チクる」の使い方
「チクる」を使った例文
使われ始めた当初、「チクる」は、先生・先輩・親などに告げ口をするという意味でしたが、現在では、職場の上司・警察・報道機関などに密告するという意味でも用いられるようになりました。
- 俺がお前の宿題を写したって先生にチクるんじゃねーぞ!
- あんた、先輩に、私が悪口言ったことチクったでしょ。
- あいつは上司にあることないことすぐチクって点数稼ぎしてる。
「チクる」のニュアンス
上の例文からも分かる通り、「チクる」内容は、チクられる人にとっては都合の悪いことです。ですから、例えば、「後輩がとてもいい仕事をしてくれた」のように良いことを報告するときには、「チクる」という言葉は用いられません。
「チクリ」とは
「チクリ」は「チクる」の名詞化したもので、「チクリ屋(密告者)」、「チクリ魔(告げ口屋・なんでもないことでもすぐに密告する人)」のように使います。
「チクる」と「報告」の違い
「報告」
「報告」とは「告げ知らせること」、特に、「研究や調査結果、与えられた任務の成果などについて知らせること」という意味で、「知らせる内容」を指すこともあります。
「チクる」と「報告」の違い
(例2)会社で社員A、Bが上司Dの悪口を言った。社員CはそれをDに話した。
1も2もCがDに告げ知らせているので「報告」です。また、「チクる」内容はチクられた人にとって都合の悪いことですから、A、Bからみれば、1も2「Cがチクった」といえます。
では、それぞれ周囲の人たちに知られた場合はどうでしょう。1の場合、AやBに近い人たちは「Cがチクった」と言うかもしれませんが、それ以外の人にとっては「報告」です。
一方、2の場合は、周囲の人からも「チクった」と言われる可能性があります。これは、Cの行いが「伝えなくても良いことを言った」「他人を陥れて自分の株を上げようとしている」と評されているからでしょう。
「報告」は告げ知らせることすべてに当てはまりますが、「チクる」に相当するのは、伝える内容が都合の悪い内容の場合か、わざわざ言わなくても良い内容である場合であると言えます。
「チクる」の英語表現
「snitch」
「チクる」を「密告する」と考えると、「snitch(密告者・密告する)」という英語で表現することができます。
- He snitched on his comrades.(彼は仲間のことをチクった。)
- I don't want to be a snitch.(私はチクリ屋にはなりたくない。)
- Stop snitching on us!(俺たちのことをチクるなよ!)
「informer」
「informer」は、名詞で用いる時の「snitch」と同義で、「密告者・告発人・情報提供者」などの意味があります。
- I am not a informer.(私はチクリ屋ではない。)
「taddletale」
「taddletale」は、「(主に子供の)告げ口屋・言いふらし屋」、「(主に子供が)告げ口する・言いふらす」という意味で、「taddle-tale」と表記されることもあります。
- I never tattletaled on anyone. (私は誰の告げ口もしたことがない。)