「恭」の読み方
「恭」は音読みでは「キョウ」、訓読みでは「うやうやしい」と読みます。「恭しい」と書いて、「うやうやしい」です。
人名に使われる場合のみの読み方
「恭」には以下のとおり、人名特有の読み方がいくつかあります。「恭」を含む熟語や形容詞は、以下の読み方には当てはまらないので注意しましょう。
- うや
- すみ
- たか
- たかし
- ただ
- ただし
- ちか
- つか
- のり
- みつ
- やす
- やすし
- ゆき
- よし
「恭」の意味
「恭」には読み方と同じ「うやうやしい」という意味があります。「うやうやしい」は「相手を敬い、礼儀正しく、丁寧にする」という意味です。
そのほかにも「つつしむ」という意味があります。「つつしむ」とは、「失敗や、失礼な態度などがないように、慎重に行動する」ということです。
さらに、「へりくだる」という意味もあります。「へりくだる」は、「相手を敬って、控えめな行動をする」という意味です。
これらを見ていくと、「恭」には、相手のことを尊重して、礼儀正しい行動をするという意味があることがわかります。
「恭」の成り立ち
「恭」の下の部分はもともと、「心」という字でした。「共」と「心」を縦に並べた形が、「恭」のもともとの姿なのです。
「共」は手をこまねいて礼をする姿を現せています。その下に「心」をつけることで、「恭しさ」を表現していました。やがて、「心」の部分の形が変化し、現在の「恭」になりました。
「恭」の使われている言葉
恭悦(きょうえつ)
「恭悦」は「つつしみよろこぶ」という意味です。「恭悦至極」などという使い方をします。「恐悦」と表現することもあります。
恭賀(きょうが)
「恭賀」は「つつしんで祝う」という意味です。「恭賀新年」という使い方をします。
恭敬(きょうけい)
「恭敬」という言葉には「うやうやしくうやまう」「うやうやしくつつしむ」という意味があります。「恭慶(きょうけい)」や「恭謹(きょうきん)」という言葉も同じような意味を持ちます。
恭順(きょうじゅん)
「恭順」は「命令に対して、つつしみ従う」という意味の言葉です。
恭喜
「恭喜」は日本語ではなく、中国語です。「おめでとう!」と相手をお祝いするときに「恭喜」を使います。
中国の方とメールやSNSでやり取りしている方は、なにかお祝い事があった時に使ってみるとよいでしょう。「恭喜恭喜」と繰り返して使うことも多いです。
一方、自分が中国の方から「恭喜」とお祝いされることもあるでしょう。その場合は「謝謝」でもよいですが、「同喜」で「ありがとう」「どういたしまして」を表すことができます。「同喜」も「同喜同喜」と繰り返して使います。
「恭」の例文
- 相手が偉い人と知って、急に恭しい口調・態度となる。
- うちのおばあちゃんの口調は、古くて恭しい。
- 新年につき、恭悦申し上げます。
- お会いできて誠に恭悦至極でした。
- 指示に従うからと言って、恭順の意を示しているわけではない。
「恭」の同訓異義語
「恭」の同訓異義語では、同じ「つつしむ」という意味で、「謹」があげられます。「謹」は「つつしむ」と読むので、「つつしむ」という意味では「恭」よりも「謹」のイメージが強いかもしれません。「謹」は「つつしむ」のほかに、「厳しく禁じる」という意味もあります。
「恭」と「謹」という、意味の近い漢字を合わせた「恭謹」という言葉があります。意味は「うやうやしくつつしみぶかい」です。
「恭」まとめ
「恭」はおめでたい言葉に使われることが多く、現在では人の名前に使われることがほとんどです。そのため、「恭」という漢字が独立して使われることはほとんどありません。
「恭」という漢字だけを使うことがほとんどないので、その意味を振り返る人もほとんどいません。しかし、改めて調べてみると、その漢字に込められた思いや歴史が見えてきます。
新たに生まれてくる子に、名前を付けるときは、その漢字の意味をとことん調べてからつけてみるのもよいでしょう。隠された意外な意味があるかもしれません。