「買いかぶり」とは
「買いかぶり」は「買いかぶる」の名詞形で、漢字では「買い被り」と書きます。
「買いかぶり」には、「物を実際の価値よりも高く買うこと」そして「能力などを実質以上に高く評価すること」、これら二つの意味があります。
前者が「買いかぶり」のもともとの意味ですが、現代では一般的に後者の意味で使われています。
「買いかぶり」の使い方
「買いかぶり」は、物や人の価値を過大評価しているさまを指して使います。価値を正しく評価できていないわけですから、基本的にはネガティブな表現です。
自分自身について使う場合は謙遜になりますが、他人に対しては失礼にあたりますので、安易に使用することは避けた方が良いでしょう。
用例
- 今まで経験したこともないのに「あなたなら大丈夫」だなんて、それは買いかぶりというもの。
- 子どもが可愛いあまり、我が子には隠れた才能があるに違いないと買いかぶってしまう。
- たまたま発言したことがその通りになったことで、私はあたかも予知能力があるかのように買いかぶられている。
- 私はあなたを買いかぶっていたようだ。まさか、そんな過ちをおかすなんて。
「買いかぶり」の語源
「買いかぶり」は「買い」と「かぶり(被り)」とに分けられます。「買い」は前述したとおり、買い物の「買い」です。
では「かぶり(被り)」とは、どのような意味を持つ言葉でしょうか。その意味こそが「買いかぶり」の語源を知るヒントとなりますので、以下で詳しくみていきます。
「被る」の字と読み方
「被」の字には「ねまき」や「ふとん」など、「寝る時におおう衣」という意味があります。「被る」と書いた場合の本来の読み方は「こうむる」であり、これは古語の「かうむる(頭にかぶる、の意)」が変化したものです。
「被る」を「かぶる」と読むのは実は表外読み(日常では使われるものの、常用漢字の音訓表には含まれない読み方)であり、もともとは「こうむる」が正しい読み方です。
「かぶる」の意味
「かぶる」は、「頭からすっぽりとおおう」という意味です。
<例>
- 布団をかぶる
- 良い人の仮面をかぶる
- 猫をかぶる
そして、他にも「本来なら受けなくてもよいものを身に受けてしまう」という意味もあります。「受けなくてよいもの」には、失敗や損害も含まれます。
<例>
- 罪をかぶる
- 泥をかぶる
「買いかぶり」の語源は、失敗や損害を「かぶる」意にあると考えられています。「実際の価値よりも高く買い物をして失敗した」というところから、「過大評価」という意味で使われるようになったのです。