「虎の威を借る」とは?
「虎の威を借る」の意味は、有力者の後ろ盾を頼みにして大きな態度を取ることです。「虎の威」が「有力者の後ろ盾」に相当します。
【用法】
- 「社長の要望」と虎の威を借りて、やりたくない仕事を回してくるので、社長室の連中は嫌われている。
- 虎の威を借るつもりか日銀総裁の言葉を引いたりしているが、お小遣いアップのお願いぐらい素直に言えばいいのに。
「虎の威を借る」の由来
『戦国策』楚策の故事
「虎の威を借る」という表現は、中国の史書『戦国策』(前77~前6年)に出てくる、以下の故事から取られています。
虎が獲物を探し、キツネを捕らえた。食べようとするとキツネは「自分は天帝により百獣の王に任命されている。私を食べたら天命に背くことになる。証拠として他の動物が私を見たら逃げるところを見せるので、ついてきてください」と言った。
虎がキツネの後をついて歩くと、果たして動物たちはみな逃げていった。虎は動物たちが逃げているのは自分のせいだと気付かず、キツネを畏れて逃げているのだと思った。
キツネは他の動物に畏れられるような動物ではありませんが、背後に虎をつけて歩くことで、あたかもキツネが皆に畏れられる存在であるかのように振舞ったのです。
「虎の威を借る狐」
他人の権威をかさに着て威張る小物を指して「虎の威を借る狐」と言います。「虎の威を借る」よりも故事成語として広く使われる表現です。
【用法】
- 先生に贔屓されている彼は虎の威を借る狐のように、学校では堂々と過ごしていた。
- おべっかの上手なだけの奴が上司に取り入るのに成功して、虎の威を借る狐で好き放題やっている。
「虎の威を借る」のまとめ
「虎の威を借る」人物は古今東西存在し、嫌われてきました。英語でもイソップ物語に由来して、動物を使った同じ意味の表現があります。
イソップ物語の場合は、カケスがクジャクの羽を身につけて、自分を立派に見せようとしました。そこから借り物の権威を揶揄する表現として、「borrowed plumes/feathers(借り物の羽)」が生まれました。