「切り替えていく」とは？意味や使い方をご紹介

「切り替えていく」は、二つの意味をもっています。

1. いままでのものをやめて別のものに替える。
2. 証文を書き替える。

このうち2の「証文を書き替える。」では、証文自体が「金品の賃借を証明する書き付け」などある事実を証明する文書という意味をもっています。使用される頻度は、1の「いままでのものをやめて別のものに替える。」に比べ、あまり多くありません。従って、今回は、主に1に焦点をあてて解説します。

「いままでのものをやめて別のものに替える。」は、機器等を切り替える（例：暖房を冷房に切り替える）、考え方を切り替える（例：負けたことは忘れて切り替える）に大別されます。

また、「切り替えていく」は、「切り替える」というフレーズでも使われます。この二つのうち、「切り替えていく」の方が将来に向かってより強い決断を表現するフレーズです。

• 今日の試合は大敗してしまった。明日の試合に向けて切り替えていくしかない。
• 担当者が体調不良でプロジェクトに参加できない。切り替えて全員でカバーしよう。
• 夏をむかえ日没時間が遅くなるので街路灯のスイッチを切り替えていく。
• 梅雨も明け暑くなってきました。そろそろ冷房に切り替える時期となりました。

従来「切り替えていく」は、主に、機器等の切り替えに使われていました。しかし、最近では、野球の監督などスポーツの指導者が、次の試合に臨むにあたってのコメントの一部分として使われるようになってきました。

辞典などでは、「切り替えていく」と「切り換えていく」は同義語として扱われることも多いです。しかし、それぞれの言葉を構成している「替える」と「換える」のもつ意味は違いがあります。

• 「替える」：AをやめてBにかえる。今の状態から違う状態に変更する。（例：商売を替える。気持ちを切り替える。）
• 「換える」：AとBを交換する。今と同様のものを新しいものに変更する。（例：空気をかえる。ギアを切り換える。）

このように、「替える」と「換える」のそれぞれの持つ意味によって使い方が異なってきます。

• 未練を残さない：あきらめること。思い切りがよいこと。
• 割り切る：一定の基準であっさりと結論を出すこと。
• 心機一転：ある動機から心持ちを変えること。
• 転換：別の物に変えること。また、変わること。
• 移行：移り行くこと。

「未練を残さない」、「割り切る」、「心機一転」は、「切り替えていく」の意味の中の「考え方を切り替える」に類するものです。また、「転換」「移行」は「機器等を切り替える」という意味での類語と言えます。

「切り替えていく」の持つ二つの意味「機器等を切り替える」「考え方を切り替える」には、それぞれの英語表現があります。

【機器等を切り替える】

• Japan switch from coal to oil（日本は(主要な燃料を）石炭から石油に切り替える。）
• I change into second reverse gear（私はギアをセカンドに切り替える。）

【考え方を切り替える】

• She bounces back quickly（彼女はすぐに気持ちを切り替える。）
• We just have to move on（さあ前に進もう。）

「切り替えていく」は、プロ野球の敗戦時のコメントでよく使われます。特に、読売ジャイアンツの原辰徳監督は、コメントで、「切り替えていく」を口癖のようによく使うため、この言葉を広めた人物といわれています。