「ズンバ」とは?
「ズンバ」(zumba)は、フィットネス・プログラムの名称です。コロンビアでエアロビクスのインストラクターをしていたアルベルト・ペト・ぺレスが20年ほど前に思いつき、アメリカで広めました。
ラテン音楽(サルサ、マンボ、チャチャなど)をはじめとする軽快な音楽に合わせて踊る、自由度の高いエクササイズです。
ダンス・ステップを基本としている点や、ダンサブルな音楽、自己流アレンジが許される楽しさは、一種のエンターテイメント。どんな年代でも楽しめるエクササイズとして、2000年代に入ったアメリカで、急速に人気が高まりました。
ズンバは正式なスペイン語ではありませんが、コロンビアの俗語で「お祭り騒ぎ」という意味があるとも言われています。
「ズンバ」誕生秘話
1990年代のある日、コロンビアのエアロビクス・クラスに着いたペレスは、レッスン用の音楽テープを忘れてきたことに気づきました。
しかたなく、たまたま持っていたラテン音楽のテープを流しながら、即興の振り付けで乗り切りました。もともとがダンサー、振付師でもあったので、お手の物です。逆に生徒は大喜びでした。
アメリカでのスタート
1999年、ぺレスはアメリカに渡りました。ラテン音楽にのせた即興ダンスで評判を得て以来、これをフィットネスにするプログラム・プランを練っていたのです。2001年、ぺレスは、満を持して、最初のズンバ・クラスをマイアミでオープンしました。
アメリカでの成功
マイアミから徐々に広まったズンバの人気が爆発したきっかけは、なんと、シリアルの「おまけ」。ズンバのDVDが、ケロッグ社のシリアルのおまけに採用されたのです。当時、ぺレスの預金残高はわずか10万円だったといいます。
ここから火がついての躍進劇。今では、世界180ヵ国、約1500万人(2017年現在)が楽しむエクササイズに成長しました。まさに、アメリカン・ドリームの実現です。
「ズンバ」の基本と特徴
ズンバの基本的なルールや特徴をご紹介します。
- インストラクターは、事前に振り付けの説明をしない。(正確性を重要視しない)
- インストラクターは、レッスン中に言葉を発しない。
- 生徒は、プログラムの難易度にてらし、自己流に踊りをアレンジしてよい。
- 4つの基本リズム、4つの基本動作による16のステップがあり、その応用・組み合わせで構成されている。動きの特徴としては、骨盤を激しく動かす動作が多い。
- 音楽は、基本的にラテン音楽。現在は、国ごとのポップスやロックなども加わっている。
- ズンバのロゴ入りの、カラフルで派手なウェアやシューズも人気の的。
ズンバは基本的な規則性を持ちはしますが、大きな特徴は、自由度の高さとルールの緩さ。軽快な音楽にのり、時にはインストラクターの動きに合わせ、時には自分が好きなように…とにかく「楽しむ」ダンス・エクササイズなのです。
インストラクターの役割
インストラクターは、言葉で指示を出さないぶん、ありとあらゆる他の技法で生徒をリードします。例えば、二本の指を立てて動作の繰り返しを促したり、動きの緩急、強弱なども、顔の表情や全身の動きで伝えてゆきます。パントマイムや手話を思わせるパフォーマンスです。
選曲、振り付けなどは、すべてインストラクターのセンスで決まります。生徒の自由度が高いとはいえ、インストラクターの技能とセンスでレッスンの質が左右されるエクササイズと言えましょう。
日本での「ズンバ」
日本でのズンバ元年は、2007年。ぺレスの来日に合わせてインストラクター制度が導入され、日本でのクラスが始まりました。
現在は、全国のスポーツ・ジム、フィットネス・クラブのプログラムに採用されることも増え、地域のサークル活動等も活発となって、日本人もズンバを楽しむようになりました。日本では、JWIという神奈川県の会社が、ズンバ協会事務局となっています。
今後の課題
ズンバが世界中で急速に広まった要因のひとつには、丸二日の講習でインストラクターになれる、という指導者養成の簡略さにもありそうです。とはいえ、二日講習のインストラクター量産は、ズンバの質の低下につながりかねません。
エクササイズのルールの緩さが人気のひとつだとしても、教え方も緩いとなれば、さらなる発展に影がさします。まだまだ黎明期のズンバ。その自由さを生かしての今後の変容も、楽しみですね。