「グロテスク」とは?
日本語としての「グロテスク」の意味
日本語として使われている「グロテスク」は、主に「異様で気味の悪いさま」、「不快になるほど異常なさま」を表しており、「グロ」、「グロい」などの派生語があります。
また、「グロテスク」は、美術用語で「古代ローマに始まった、異様な人物や動植物などに曲線模様をあしらった装飾文様」を指す言葉としても用いられています。
「グロテスク」の使い方
- 「グロテスクな映像は苦手だ。」
- 「身近なものでも、拡大して見るとグロテスクだと感じることがある。」
- 「この作品はグロテスクなまでに人の業を描き出している。」
「グロテスク」の由来
語源はイタリア語の「grotta(グロッタ)」
日本語として使用されている「グロテスク」は、英語やフランス語の「grotesque」に由来していますが、「grotesque」の語源は、イタリア語で地下墓所や洞窟を意味する「grotta(グロッタ)」です。
「grotta」が語源となった理由は、ルネッサンス期にイタリアで発掘された、古代ローマ時代のネロ帝の黄金宮殿「ドムス・アウレア」にあります。
グロッタの文様
「ドムス・アウレア」の回廊や部屋の壁面には、人物や動物の足が植物に変化した唐草文や、怪鳥が飛び交う中に草花を散りばめた奇妙な装飾が施されていました。
この文様が、「グロッタの文様」という意味で「grotteschi(グロテスキ)」と呼ばれるようになったのです。
英語、フランス語へ
イタリア語の「grotteschi(グロテスキ)」は、英語やフランス語に取り入れられて「grotesque(グロテスク)」という読み方に変わり、グロテスク文様はルネッサンス期の建築や工芸品の装飾として流行しました。
新古典主義時代になると、「grotesque」は「醜悪な人物」、「滑稽な容貌」を表す言葉として用いられるようになります。
現在の「grotesque(グロテスク)」の意味
現在、英語やフランス語の「grotesque(グロテスク)」は、次のような意味の形容詞として用いられています。
- 怪奇な。異様な。
- 奇抜な。滑稽な。ばかげた。
- [美術用語]グロテスク風の
また、「grotesque(グロテスク)」を名詞として用いるときは、「グロテスク風」、「怪奇主義」などの意味になります。
「グロテスク」の日本語と英語の違い
日本で使われている「グロテスク」には、上でご説明した英語の「grotesque」の1と3の意味はありますが、2の「滑稽な」という意味がありません。
それに対して、英語の「grotesque」は、主に「滑稽な」という意味で用いられます。例えば、「グロテスクな映画」という場合、スプラッタムービーのように残忍なシーンを含む映画ではなく、滑稽な映画を指します。それは、フランス語やイタリア語で言う「グロテスク」でも同様です。
映画『グロテスク』(2009年日本)
『グロテスク』は、2009年に日本で発表されたスプラッター・ホラー映画で、監督・脚本は、『貞子vs伽椰子』の白石晃士です。
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小説『グロテスク』
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