「聞く」とは
「聞く」は「きく」と読みます。「聞かない」「聞きます」「聞くとき」「聞けば」「聞こう」など、語形が五十音表のアイウエオの五段で変化する五段活用動詞です。また「聞」という漢字は「みみへん」の常用漢字です。
「聞く」の意味と使い方
「聞く」の基本的な意味は「音や声を耳で感じること」です。しかし改めて細かく見てみると、少し違った意味も見えてきます。
たとえば、慣用的な使い方として「香を聞く」「酒を聞く」のように、耳を使わず、鼻や舌を使う場合もあります。その他にはどんな用法があるのか、以下で確認してみましょう。
「聞く」の意味その1
【意味】
音や声を耳で感じること
【例文】
- 声を聞く
- 物音を聞く
「聞く」の意味その2
【意味】
- 注意して耳にとめること
- 積極的に自分から耳を傾けること
【例文】
- CDを聞く(聴く)
- 講義を聞く(聴く)
※この意味で使われる「聞く」は「聴く」とも表記されます。
「聞く」の意味その3
【意味】
情報を手に入れること
【例文】
- 評判を聞く
- 噂を聞く
「聞く」の意味その4
【意味】
- 人の意見や感情などを受けとめること
- 人の要求などを受け入れること
【例文】
- 意向を聞く
- 忠告を聞く
- 親の言うことを聞く
「聞く」の意味その5
【意味】
不明なことを問う
【例文】
- 道を聞く(訊く)
- 都合を聞く(訊く)
※この意味で使われる場合、「訊く」とも表記されます。
「聞く」の意味その6
【意味】
- 感覚を研ぎ澄まして識別すること
- 種類や良し悪しを感じ取ること
【例文】
- 香を聞く
- 酒を聞く
※「酒を聞く」は「利き酒」のように「利く」とも表記されます。
「聞く」の類語
以上見てきたように「聞く」にはいくつかの意味があります。そこで、ここではそれぞれの意味ごとに類語を見ていきましょう。
「耳を傾ける」の類語
「拝聴する」は「聞く」のへりくだった言い方です。「先日、先生の講演を拝聴しました」のように使います。
この場合、自らの「聞く」という行為を「拝聴する」という謙譲表現に言い換えることで「先生」への敬意を表します。
「情報を手に入れること」の類語
「耳にする」はそれとなく耳に入ってくる、という意味です。「職場で気になる話を耳にした」のように使います。
「意見を受け止めること」の類語
「耳に留める」は注意して聞き記憶にとどめる、という意味です。「監督のアドバイスを耳に留めてプレーします」のように使います。
「不明なことを問う」の類語
「尋ねる」「質問する」「問う」は分からないことを教えてもらうために答えを求める、という意味です。「先輩に発表の手順を尋ねた」のように使います。
また上記の「尋ねる」の謙遜した言い方が「伺う」です。「お客様にお名前の読み方を伺った」などと使います。
「聞く」の含まれることわざ
「聞く」の含まれることわざは数多くあります。ここではその一部をご紹介します。
聞いて極楽、見て地獄
「聞いて極楽、見て地獄」は、人の話を聞くととても良さそうなのに、実際に見てみるとひどいものだ、という意味です。聞くのと見るのとでは大差がある、ということのたとえです。
一を聞いて十を知る
「一を聞いて十を知る」は物事の一端を聞いただけで全体が理解できる、という意味です。非常に聡明であることのたとえです。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
「聞くは一時(いっとき)の恥、聞かぬは一生の恥」は、知らないことを人に聞くことはその時には恥ずかしいような気持ちになるが、聞かないと一生知らずに過ごすことになり一生恥ずかしい思いをすることになる、という意味です。
知らないことは素直に知らないと認め、一時恥ずかしいのを我慢して人に聞いた方がいい、という教えです。
朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり
「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」は、朝、人はどう生きるべきかという道を聞いて悟ることができたなら、その晩に死んだとしても悔いはない、という意味です。「聞かば」は現代語で言うと「聞けば」になります。
「聞き〇〇」の表現
- 聞き入る:じっと聞く うっとりして聞く
- 聞き出す:自分が知りたいことを聞き答えを引き出す
- 聞き流す:聞いても心にとめないでおく
- 聞き逃す:聞こうと思っていたことを聞き損う
- 聞きかじる:物事の一部分、うわべだけを聞く
「聞く」に関連するカタカナ言葉
- リスナー:聞き手 特にラジオ番組の聴取者
- インタビュー:記者などが取材のために人に会って話を聞くこと
- ヒアリング:外国語を聞いて理解すること または公聴会や聴聞会