「拝聴する」の読み方
まず「拝聴する」の「拝聴」は、「はいちょう」と読みます。訓読みで「拝」は「おが(む)」、「聴」は「き(く)」と読む字ですね。
「拝聴する」の意味
「拝聴する」とは、聴くことの謙譲語です。慎んで(話などを)聴くことを表します。ちなみに「拝」の字は敬意を表することや、ありがたがるなどの意味を持っています。一方で「聴」はそのまま、聴くなどの意味です。
「聞く」と「聴く」の違い
「聞く」と「聴く」は読み方が同じで、意味もほぼ同じです。そういう言葉を同訓異字と言うのですが、「聴く」は「聞く」の同訓異字に当たります。
そしてどちらも人の声や物音を、耳でとらえることを意味します。ただし「聴く」の方は意識的に耳を傾けることを表し、対して「聞く」は意識的ではない場合にも用いられます。よって「拝聴する」は、自ら進んで耳でとらえる、というようなニュアンスを含みます。
「謙譲語」とは?
「謙譲語」とは、自分がへりくだる表現です。へりくだるとは相手を敬い、控えめな態度をとることなどを意味します。そうやって自分を下げることで、相手を立てるわけですね。関連する表現には、目上の人を敬う、尊敬語などがあります。
「拝聴する」の使い方
上述を踏まえて「拝聴する」は、自分がへりくだることで相手を立て、話などを聴くことを指して使われます。
たとえば「彼の演説を拝聴する」だと、「控えめな態度を取ることで彼を立て、演説を聴く」というような意味です。他には「する」以外で、「拝聴したい」や「拝聴させてください」などの使い方があります。
「拝聴」の例文
- 上司の話を拝聴したのち、質問を述べる
- ご高説を拝聴する
- 相手が相手なので、拝聴せざるを得ない
「拝聴する」の類語
「拝聴する」の類語には、「拝聞する」、「傾聴する」、「静聴する」、「伺う」などがあります。
「拝聞する」
「拝聞する」の「拝聞」は「はいぶん」と読み、慎んで聞くことを表します。これは聞くことのへりくだった表現です。また、「拝聴」の意味を含んでいます。
この言葉は「拝聴する」とほぼ同じ意味ですが、上述の「聞く」と「聴く」の違いを踏まえると、「拝聞する」は「拝聴する」を内包しつつ、より広い意味を示すと言えるでしょう。
「傾聴する」
「傾聴する」の「傾聴」は「けいちょう」と読み、耳を傾けて、熱心に聴くことを表します。またカウンセリングなどに関係する用語としての意味もありますが、本題から逸れてしまうので、ここでは省きます。
自分がへりくだるなどの意味は持っていないので、「拝聴する」とは似ていても、細部が違っていますね。「傾聴する」は、その話などを真剣に聴く、というようなニュアンスが強めです。
一方で使い方は「拝聴する」と同じような感じで、「友人の話を傾聴する」や、「これは傾聴に値する話だ」という風に使われます。
「静聴する」
「静聴する」の「静聴」は「せいちょう」と読み、話などを静かに聴くことを表します。こちらも「拝聴する」とは似ていますが、細かな部分が違っていますね。
使い方としては「話を静聴する」などの他に、たとえば講演会で司会者の方が、「ご静聴を願います」と使ったりします。これは「うるさくせず、静かに聴いてくださいね」というような意味です。
「伺う」
「伺う」は「うかがう」と読み、聞くこと、尋ねること、訪問することの、へりくだった表現です。ここでの尋ねるとは、問うことなどを指します。まず聞くことに関しては、「お話を伺う」などのように使われ、これは自分が相手の話を聞くことですね。
次に尋ねることに関しては、「例の件について話を伺いたいのですが~」などのように使われます。こちらは「例の件について話を聞きたい、質問や確認をしたい」という意味で、聞くことは同じでも、問うニュアンスが含まれています。
訪問することに関しては、「お宅に伺います」などのように使われ、これは「お宅に行きます」という意味です。
「拝聴する」に関連した言葉
「拝聴する」に関連した言葉には、「拝見する」などがあります。「拝見する」は、見ることのへりくだった表現です。「聴く」に対しての「見る」なので、類語とは言えませんが、似ている意味の言葉ですね。