「責任」とは?
「責任」とは、何らかの事態が起こったとき(または起こると予想されるとき)、その事態の原因となる行為者が負うべき責(せき)や科(とが)などの義務のことをいいます。
例えば、政治家は国民のために法を作る義務を負っており、その義務を怠った者は「政治的責任」を問われることになります。役職を辞任することで責任をとる場合もあれば、引き続きその役職で義務を全うすることで責任を果たす場合もあります。
転じて、「その立場で当然に求められる義務」や「期待される役割」、「何らかの問題が起こったとき、それを負担するリスク」といったニュアンスも含まれ、責任という言葉は多様な使い方をされています。
行為者の立場・地位・職、またはその行為がもたらす事態によって、政治的責任、社会的責任、法的責任、道義的責任など、さまざまな観点による責任の考え方があります。
「責任」の使い方
- 子どもを叱るのは、大人としての責任だ。
- 何か起こった場合、私が全責任を負う。
- あの人は管理職なのに、言動や行動が無責任だ。
責任と自由
「責任」を語る上で、「自由」の概念は欠かすことができません。なぜなら責任とは、何らかの事態において「何かできる自由があったのに、何もしなかった」「異なる行動をとれる自由があったのに、とらなかった」場合に問われるからです。
逆に言えば、他に取りうる手段がなかった場合など、不自由な状況においては責任を免れる可能性があります。例として、自分の身を守るためやむなく他者に危害を加えた「正当防衛」が成立する場合、法的責任を問われることはありません。
すなわち責任は、人間がその自由意志に基づいて物事を選択・行動できるということを前提として成立しています。自由の概念なしでは、責任の概念もありません。
「責任」の類語
「責任」には、行為者の立場や職によって多様な類語表現があります。また、「責任をとる」などと表現する場合には、さらに状況に応じた類語表現があります。
「責任」の類語表現
- つとめ
- 責
- 義務
- 責務
- 使命
- 当為
- 本分
- 職責
- 言責
- 文責
「責任をとる」の類語表現
- 責任を負う
- 責任を引き受ける
- 責任を果たす
- 落とし前をつける
- 後始末をする
- けじめをつける
- 担う
- リスクを負う
「責任」の関連語
- 責任転嫁…自分の過ちや責任を他人になすりつけること。
- 責任能力…自分の行為について責任を負うことができる能力。とくに法律用語で、違法行為による法律責任を負担しうる能力。
- 説明責任…利害関係者に対し、事態や状況を説明する義務のこと。アカウンタビリティ。
「責任」の英語表現
責任の英語表現は「responsibility」(レスポンシビリティ)が一般的です。「response(応答する)」と「ability(能力)」が組み合わされた言葉であり、「応答する能力」のことを表しています。
すなわち、何らかの事態が起こった、または起こりうる場合に備えて、その事態に「応答・反応できる能力」を持つことが責任の基本的な考え方であると捉えましょう。
「responsibility」のほかに、「失敗の責任」「約束を果たす責任」など、ニュアンスによって使い分けられる表現が複数ありますので、詳細は以下をご参照ください。
さまざまな「責任」の英語表記
- blame…失敗などの責任(他動詞)
- fault…過りや落ち度などの責任
- liability…法律上の責任、債務
- charge…義務としての責任、責任者
- trust…信頼から生じる責任
- commitment…「~する」という約束、責任
- account…説明・釈明する責任
- guilty…罪としての責任
- own risk…自分の責任において
主な使い方
- I take full responsibility for this action.(この行為に対しては私が全責任を負う)
- Don't place the blame to other shoulders.(他人に責任を転嫁するな)
- She said that it was entirely my fault.(それはすべて自分の責任だと彼女は言った)
- He is in charge of the sales dept.(彼は販売部の責任者だ)