「フラゲ」ってどんな意味?
「フラゲ」とは、「フライングゲット」という言葉の略です。AKB48の曲のタイトルにもなったこの「フライングゲット」は、「発売日より先に商品を手に入れること」を意味します。特にCDや雑誌、ゲームなどの商品に対して使われることが多いです。
これらの商品は、特に全国規模で流通している場合、メーカー側で「この日が発売日です」と定められます。しかし、店によってはその発売日よりも早く、入荷してすぐに店頭に並べ、販売することがあります。
そうすると、メーカーが定めた発売日より前に購入することができます。これが「フライングゲット」、略して「フラゲ」です。
「フラゲ」の例文
- マンガの新刊、フラゲしてきた
- このCDってフラゲできないのかな?
- 来週発売ですが、フラゲできるお店もあるので、早くほしい方はそちらでお願いします。
- 早くほしいけど、田舎じゃフラゲができない
- 今日がフラゲ日です。
フラゲの同義語・派生語
フラゲと同じような意味の言葉に、「早売り」「早バレ」があります。ただ、これらの言葉よりも「フラゲ」の方が一般的です。
また、フラゲから派生した言葉には「フラゲ日」があります。商品をフラゲできる日のことです。たとえば、お店によっては発売日よりも早く、入荷した時点で店頭に並べることがあり、その場合、入荷した日がフラゲ日となります。
ちなみにフラゲは商品を買う側が使う言葉ですが、逆に売る側から見たときは「フラゲ販売」という言葉を使います。
「フラゲ」の由来
「フラゲ」のもととなった「フライングゲット」は、「フライング」と「ゲット」に分けることができます。
ここでいう「フライング」とは、「空を飛ぶこと」ではありません。陸上競技やレース競技における、「スタートの合図が出る前に勝手にスタートすること」という意味での「フライング」です。
一方、「ゲット」は「購入すること、手に入れること」を意味します。「フライングゲット」「フラゲ」は商品を買うことをレースになぞらえ、本来は「発売日」というスタートの合図でみんな一斉に買うところを、その発売日より早く購入することを意味しているのです。
ちなみに、この「フライングゲット」は和製英語です。なので海外で発音良く"flying get"と言っても通じませんし、ましてや略語である「フラゲ」は全く意味が通じません。
フラゲって違法じゃないの?
「フラゲ」の由来となった「フライング」は反則行為です。陸上競技でフライングしてやり直しになったり、不正とみなされて失格になったり、といった経験を持つ人もいるでしょう。では、フラゲは反則・違法ではないのでしょうか。
結論から言うと、フラゲをしても全く問題はありません。ただし、これは商品を買う側の場合。
商品を売る小売店の場合、メーカーの定めた発売日を破ることになるため、取引の量を減らされたり、取引を打ち切られるなどのペナルティを課されることがあります。
また買う側も、フラゲした商品の内容の漏洩、たとえばマンガのネタバレなどはマナー違反になるので控えましょう。
メーカー黙認のフラゲ
一方で、メーカーがフラゲを黙認するケースもあります。CDの場合、水曜日の発売が一般的ですが、その前日の火曜日にすでに店頭に並んでいることが多く、音楽業界ではこのことはもはや常識となっています。
そのため、「CDの場合は発売日の前に店頭に並んでいるのは常識だから、フラゲとは呼ばない」という考え方もあります。フラゲに対して罰則を与えるか否かは、商品やメーカーによって大きく対応が異なるのです。
フラゲと意味の近い言葉「初物」
日本人は「初物」という言葉が大好きです。初物とは、「その年初めて収穫された野菜・果物・穀物・魚介など」を意味します。
「初ガツオ」や「初マグロ」は普通のカツオやマグロよりも需要があり、こと初マグロにいたっては、毎年とんでもない値段で取引されたとニュースにもなっています。
歴史をたどると江戸の時代から、特に江戸っ子は初物が好きで初物にこだわり、なるべく早く手に入れようと様々な工夫をしてきたようです。
この「なるべく早く手に入れたい」という日本人特有の初物好きの精神が、フラゲという言葉を生んだのかもしれません。
フラゲのまとめ
AKB48の「フライングゲット」が2011年の歌ですから、「フラゲ」という言葉はその少し前から浸透し始めたと考えられます。
しかし、「なるべく早く手に入れたい」という考え方は、もっと昔から日本人に受け継がれてきました。「フラゲ」という略語には、意外と深い歴史があるのです。