「斜めに構える」とは?
「斜めに構える」という言葉は正しい使い方ではありません。本来は「斜に構える(しゃにかまえる)」という言葉が正しいです。「斜(しゃ)」という言葉を「斜め(ななめ)」と読むことから起きる誤用ですが、多くの人がこの間違った言葉のまま覚えてしまっています。
「斜に構える」とは?
「斜に構える」は複数の意味を持つ言葉です。
- 剣道において「片足を引いて斜に構える」という風に使われる「斜に構える」は、「刀などを斜めに構えること。」を意味しています。
- 「斜に構えて相手の出方を待つ」という時の「斜に構える」は、「しっかりと身構える。改まった態度をとる。」といった意味を持っています。
- 「世間に対して斜に構える」という時の「斜に構える」は、「まともに対応しないで、皮肉やからかいの態度で臨む。」という意味になります。
「斜に構える」の語源
「斜に構える」の語源は剣道にあります。剣道の構え方には、下段・中段・上段とあります。この中段の構え方が、相手に対し刀を斜めに突き出すものであることから「斜に構える」という言葉ができました。
また、この中段の構え方は、試合前に試合前にお互いが向き合う基本姿勢で、一番すきのない構え方であるため「しっかりと身構える。改まった態度をとる。」といった意味で使われるようになりました。
「まともに対応しないで、皮肉やからかいの態度で臨む。」というのは元々「斜に構える」の本来の意味とかけ離れたものですが、現在ではすっかり定着しています。
この意味が使われるようになったのは「斜に構える」を、「偏った見方をする」といった意味を持つ「斜めに見る」という言葉と混同していたためと言われています。元々は間違った意味ですが、今では辞書に掲載されるほど浸透した意味となっています。
「斜に構える」の例文
「彼は試合が始まると、斜に構えて相手の動きを誘った。」
「話がしづらいのでそんなに斜に構えないでください。」
「彼の斜に構えた態度に周りが迷惑している。」
「先生の話をしっかり聞こうと斜に構えた。」
「斜に構えているのがかっこいいなんて幼稚な考えである。」
「斜に構える」の関連語
「天邪鬼」
「天邪鬼」は「あまのじゃく」と読みます。「わざと人に逆らう言動をする人。つむじまがり。ひねくれ者。」といった意味で使われる言葉です。毘沙門天や仁王の仏像に踏みつけられている小鬼や、昔話に登場する悪い鬼のことを指します。「斜に構える」と似たような意味を持ちますが、「斜に構える」には「わざと人に逆らう」という意味合いは含まれないため間違えないように注意したいです。「彼は本当に天邪鬼な性格だ。」
「偏屈」
「偏屈」とは「性質がかたくなで、素直でないこと。ひねくれていること。また、そのさま。」という意味を持つ言葉です。がんこなことを言います。「偏窟」とも書きます。「近所のおじいさんは偏屈な人で、周りから嫌われている。」
「旋毛曲り」
「旋毛曲り」とは「つむじまがり」と読み、「性質がひねくれていてすなおでないこと。また、そのさまや、そういう人。へそ曲がり。」といった意味を持つ言葉です。「つむじ」とは頭髪にあるうずのことを指します。「旋毛曲り」とは人とは違う変わったつむじを持つ人のことを言い、それをひねくれた性格に例えたそうです。「彼は旋毛曲りな気難しい人で近寄りがたい。」
「拗ねる」
「拗ねる」とは「すねおに人に従わないで、不平がましい態度をとる。」、「わざとよそよそしく振る舞う。」といった意味を持つ言葉です。「彼女は何かあるとすぐに拗ねてしまう。」