トラウマの意味
「トラウマ」とは、人の精神に大きなダメージを与え、その影響が長期にわたって残るような体験や、そのときに受けた精神的な外傷のことを意味します。
かつては、命にかかわるような事故や事件に巻き込まれるなどの恐怖体験によって心の傷を負った場合でしか使ってはいけませんでした。しかし、ネットなどで多用されるようになったことで、ちょっとしたショックを受けただけでも「トラウマ」と表現されることが一般的になっていったのです。
トラウマの語源
そもそも、トラウマとは何語なのでしょうか?日本語だと勘違いし、「虎馬」などという漢字が当てられているのを見かけますが、まったくのデタラメです。答えはギリシャ語で、「傷」という意味でどちらかというと肉体的なものを指していました。
しかし、1917年に精神分析学者のジークムント・フロイトが自身の著書『精神分析入門』にて、肉体的な外傷が後遺症として残るのと同じことが精神でも起きるという見解を発表します。その際に、精神的な外傷を意味する言葉として用いられたのが、「トラウマ(trauma)」だったのです。
トラウマと似た言葉「PTSD」とは
トラウマと似た言葉に「PTSD」というのがあります。両者を混同して使う人がいますが、厳密にはそうではありません。
PTSDとは、「Post Traumatic Stress Disorder」の略語で、トラウマになった体験を原因とするストレス障害のことを指します。すなわち、トラウマによってPTSDが発症するという関係性になっているのです。
本来の意味で使われているケースもある
トラウマが本来の「肉体的な外傷」という意味で使われているケースもあります。それが「ショックアンドトラウマ(Shock & Trauma)」です。ドラマ「コード・ブルー」のモデルとなった日本医科大学千葉北総病院の救急センターのスタッフが着るユニフォームの背中に書かれていることで知られています。
この場合の「ショック」は血圧低下などが原因で臓器が機能不全を起こしている状態のことで、「トラウマ」は肉体的な外傷のことを言います。すなわち、「ショック状態にも肉体的外傷にも対応できる」ということを表しています。
トラウマの使い方
トラウマという言葉は軽い意味でも重い意味でもよく使われる言葉です。使い方を誤ると相手に不快感を与える可能性があります。TPOに合わせて使い分けることを心がけましょう。
- (軽い意味で使う場合)「昨日見たアニメのあのシーン、マジでトラウマだったわー」
- (思い意味で使う場合)「東日本大震災は人々に大きなトラウマを与えた」