『ドボジョ』の意味
ドボジョとは「土木建設業界で働く女性や、土木工学科や土木建築工学科で学ぶ女性」のこと。“土木系女子”を略して『ドボジョ』としたものです。
『ドボジョ』の誕生
「きつい、汚い、危険」の3K職場というイメージが強く男性の職場であった土木建築の現場に、研究室から設計図を持って、ヘルメットを被り作業服に凜々しく身を固めた若い女性が現れ、男性に伍して働くようになったこと、それを強調するがごとくに『ドボジョ』とネーミングしたことで巷に新鮮な驚きを生みました。
「ドボジョ」は2010年辺りから使われ始め、2011年に建設会社に勤める女性が主人公の漫画『ドボジョ』が発刊されたり、写真集が発売されたことなどから、新しい女性の生き方としても注目されるようになりました。
『ドボジョ』が女性の共感を呼ぶ
これまでもダンプカーやトラックの運転手など、男性主体の職場に女性が参入した例がありましたが、それぞれ姫ダンプ、姫トラと呼ばれていました。つまり、“姫”であり、“職場の花”のような存在として認識されていたのです。
しかし『ドボジョ』は土木建築現場の花では無く、あくまでも現場で働く女性であることを前面に押し出したネーミングであることが共感を生みました。
また2014年には、日本建設業連合会が建設業で働く女性技術者の愛称として「けんせつ小町」を提唱しました。町内の美人娘を銀座小町などと呼んだ、いわゆる看板娘の発想ですが、現場で働く女性を前面に強く出したドボジョとは認識のズレが大きかったようです。
「ドボジョ」の使い方
例1:土木建築工学などを学ぶ女性のことを称する
(A)
彼女、土木建築工学科を専攻するんだって?
(B)
そうなんだよ。
春から念願の『ドボジョ』だって、張り切っているよ。
例2:土木建築の工事現場で働く女性のことを称する
(A)
この春、設計部から、うちの現場に女性が配属されてくるらしいよ。
(B)
やったー、この現場の『ドボジョ』第一号だね!
男性社会における女性のニーズ
男性主体の職場への女性の進出は、労働力不足だけが原因ではありません。「男性ばかりの職場に女性が加わることで、職場の雰囲気が明るくなった」といった、従来から言われている効果とは異なり、『ドボジョ』の女性ならではの感性がレイアウトや住み心地、使い勝手などに生かされ、生産性向上に繋がる効果も認識されています。
運送業における『トラガール』も、運転手不足解消というだけではなく、たとえば宅配などでは一人ぐらしの女性から、安全面を考慮して女性のドライバーによる配達の希望があるなど、新しいニーズが生まれています。
ドボジョの仲間の〇〇女子
職場ばかりでなく、これまで男性向きとされてきた趣味や遊びの世界への女性の進出にも、目覚ましいものがあります。〇〇女子や△△ガールなどと呼ばれており、社会現象として注目されています。
- リケジョ…理科系を学ぶ女子
- ノウジョ…農業系を学ぶ女子
- 鉄女…鉄道好きの女性
- カープ女子…プロ野球の広島カープ球団の女性ファン
- 相撲女子(ガール)…大相撲の女性ファン
ファッションも楽しむ〇〇ガール
山登りが好きで、普段着でも登山の雰囲気をコーディネイトして楽しむ『山ガール』や、ルアーを小道具に洒落る『釣りガール』。
男性と異なり、男性向きの趣味や遊びの領域へ進出した女性は、趣味や遊び自体を楽しむと共に、それを一つのファッションと捉えて、その雰囲気も楽しむという女性ならではの満喫法があるようです。
『ドボジョ』は男女共同参画社会の象徴
『ドボジョ』やそれに関連する『◯◯女子』、『△△ガール』などは、男子専科の場への女性の進出を象徴する社会現象として、好意的に捉えられています。
また「パパ留守番、ママ女子会」とすっかり定着した感がある、女性だけの飲み会を『女子会』と堂々と呼ぶようになったのも、ひと昔前では考えられなかったことではないでしょうか。
これらは男女共同参画社会基本法が目指してきたものが実を結びつつある、一つの証左とも言えるでしょう。