「噂をすれば影」とは?意味や使い方をご紹介

「噂をすれば影」は、「噂をすれば影が差す」とも言います。「差す」が略された形で使われることが多く、現代でも耳にすることわざです。しかし、常用されるようになったのは江戸時代後期あたりからだと言われています。ここでは「噂をすれば影」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「噂をすれば影」の意味
  2. 「噂をすれば影」の例文と用例、使い方
  3. 「噂をすれば影」の類語
  4. 「噂をすれば影」の英語表現
  5. 「噂をすれば影」の諸外国での表現
  6. 「噂」が含まれる表現

「噂をすれば影」の意味

噂をすれば影」は、誰かの噂をしていると、なぜかその人がその場に姿を現すものだ、という意味です。

ここでいう「影」とは、人影、人の姿のことです。「影が差す」で「人の気配がする、人がそこに現れる」という意味になります。

古くは、単に噂をしていた人が偶然現れるということではなく、「言葉の持つ霊力=ことだま」が人に影響を与えるという不思議な力があると信じられていたようです。

「噂をすれば影」の例文と用例、使い方

それでは「噂をすれば影」がどのように使われているか、例文や用例を見てみましょう。

「噂をすれば影」の例文

  • 噂をすれば何とやらで、あの二人がやってきたよ。
  • 噂をすれば影というから、悪口はここらでやめておこう。

一つ目の例文のように、会話の中では最後まではっきり言わずに「何とやら」などとぼやかした表現も多く見られます。

また噂というのはいい噂ばかりではなく、悪口になってしまうこともあるものです。二つ目の例文のように、そうした噂話は慎めという戒めを込めて使われる場合もあります。

「噂をすれば影」の用例

主人の代理に迷亭の悪口をきいて居ると、噂をすれば陰の喩に洩れず迷亭先生の例の如く勝手口から飄然と春風に乗じて舞い込んで来る

夏目漱石『吾輩は猫である』

上記の用例の中では「陰」という漢字が使われていますが、通常は「影」という漢字が使われます。辞書によっては「陰」を誤用としているものもありますので、注意してくださいね。

「噂をすれば影」の類語

「噂をすれば影」は、「噂をすれば影が差す」、「人事(ひとごと)言えば影が差す」などの異表現があります。ここでは少し違う形の類語もご紹介します。

  • 噂を言わば目代(めしろ)置け…噂話をするときは、見張りの人を置くのがよい。
  • 人の事を言えば御座(ござ)を敷け…人の噂話をするときは、その人を迎えるための御座を敷いておきなさい。
  • 謗(そし)れば影差す…誰かの悪口を言っていると、本人が思いがけず現れる。

「噂をすれば影」の英語表現

  • Talk of devil, he is sure to appear.(悪魔のことを話せば、必ず悪魔が姿を現す)
  • The devil is nearer than when we are talking of him.(悪魔の噂をしている時くらい悪魔が人の近くにいることはない)
  • Sooner named, sooner come.(名前を呼ぶやいなや現れる)

「噂をすれば影」の諸外国での表現

  • 狼の話をすると、その尻尾が見える(フランス)
  • ローマ王の話をしたら、彼が門を通って現れる(スペイン)
  • 鬼の話をしたら、鬼は遠くない(ドイツ)
  • 虎の話をすれば虎が現れ、人の話をすれば当人が現れる(朝鮮)
  • 曹操の噂をすれば、曹操がやってくる(中国)
  • デフと言えばデフが出てくる(タジキスタン)

タジキスタンのことわざに出てくる「デフ」とは、お話の世界での恐ろしい怪物のことで、中国のことわざの「曹操」は、三国志の魏国の王です。また、他の国でも、鬼、狼、虎など、様々な例えが使われていますが、強大なものや恐ろしいものばかりですね。

「噂」が含まれる表現

「噂をすれば影」以外にも、「噂」が含まれる表現がありますのでご紹介します。

  • 人の噂も七十五日…人の気持ちは移ろいやすいもので、大きな話題となった事でも、時間の経過とともに自然と話題にのぼらなくなり、忘れられていくものだ。
  • 噂は遠くから…人の噂というものは、真実を知っている人からではなく、関わりのない外部の人から発生する場合が多いものだ。
  • 噂をすると嚔(はなひ)る…人に噂をされると、くしゃみがでる。

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