「センシティブ」とは
センシティブ(sensitive)は、センス(sense)の形容詞形です。
センス(sense)は「物事の微妙な味わいを感じとる心の働き。またそれを具体的に表現する能力」や「判断力。分別」という意味の英語ですが、日常会話の中では「センスの良い人」や「センスが無いなあ」などと日本語と変わらずに頻繁に使われていて、とても身近な言葉となっています。
ではこれを形容詞化した「センシティブ」は、日本でどのような用いられ方をしているのでしょう。
「センシティブ」の意味と使い方
カタカナ語の「センシティブ」は、主に以下の2つの意味で用いられています。
感じやすいさま。敏感なさま。
「感情が細やかで繊細なさま」「神経質なさま」
【使用例】
- 彼女はまだ10代でセンシティブな年頃だからね
- 彼にそんなセンシティブな一面があったなんて驚いたよ
センシティブを人に対して使う場合には「感受性が豊か」という良い面もありますが、感受性が強すぎて「神経質で少し扱いづらい人」というネガティブなニュアンスが含まれる場合もありますので、注意が必要です。
微妙なさま。慎重を要するさま。
「取扱いに細心の注意を要するさま」
【使用例】
- とてもセンシティブなテーマなので慎重に会議を進めてください
- 日韓両国にとって実にセンシティブな問題である
- これはセンシティブ情報にあたるので取扱いに気をつけなさい
- このコンテンツにはセンシティブな内容が含まれています
センシティブを「問題」や「情報」などの人やモノ以外に使う場合には、単に「扱いに細心の注意を要する」だけでなく、文脈によっては「機密な」「公にしにくい」といったニュアンスが含まれます。
「センシティブ」の類語
センシブル sensible
「センシブル」は「感受性が強いさま」「感覚が鋭いさま」「思慮・分別のあるさま」を表す言葉です。
センシティブとセンシブルは、どちらも「センス」をもととする形容詞ですが、語尾によって以下のようなニュアンスに変じます。
- -tive:~という性質・傾向の
- -ible:~できる
たとえば「アクティブ(積極的・活動的)」は、対象の性質や傾向を表す形容詞ですよね。また「リバース(逆)」に「-ible」をつけると「リバーシブル(逆さにできる)」という、対象の優位性を表す形容詞になります。
これと同じように、センシティブは「感じやすい」「敏感な」といった性質を、センシブルは「感受・知覚できる」「分別がある」という優位性を表す言葉なのです。したがって、良し悪しに関係なく単純に性質を表すセンシティブと違い、センシブルはポジティブなニュアンスで使用される傾向があります。
【使用例】
- もっとセンシブルになるべきだ(もっと思慮深く良識のある行動をとるべきだ)
デリケート delicate
「デリケート」とは「感受性が強く、繊細なさま」「細かい点にまで意味があって、おろそかにできないさま」「微妙なさま」「精巧で壊れやすいさま」のことです。
【使用例】
- デリケートな仕事なので気を抜かないでください
- 赤ちゃんの肌はとてもデリケートだ
デリケートはセンシティブに比べると感覚が鋭いという意味よりは単に刺激に弱い様子を表します。「センシティブな人」は「相手の感情や様子を敏感に感じ取る人」ですが、「デリケートな人」は「(単に)傷つきやすい人」となります。
機械などに対する場合も、例えば「センシティブなカメラ」は「高感度のカメラ」の意味になりますが、「デリケートなカメラ」は「壊れやすいカメラ」になり、そこには明らかにニュアンスの違いがあります。
ナイーブ naive
「ナイーブ」は「素朴で飾りけがないさま。また純真で物事に感じやすいさま」をいいます。
【使用例】
- 彼はとてもナイーブな感性の持ち主だ
- 彼女は少しナイーブな性格なので他人と打ち解けるのが苦手みたいだ
ナイーブは一般的には「純真な」「繊細な」「うぶな」「傷つきやすい」というような意味で使われています。語源は元々フランス語で、「生まれたまま」「素直」「無邪気」という意味に、「ばか正直」「鈍感」という意味を合わせ持つ言葉です。
英語のnaiveは「世間知らず」「無知」「未熟」「考えが甘い」という意味合いが強いため、使うときには注意が必要です。日本語のイメージで「君はナイーブだね」と褒めたつもりで言ったとしても、違う意味で受け取られてしまうことになります。
ナーバス nervous
「ナーバス」は「神経質なさま」「神経過敏なさま」を表します。
【使用例】
- 彼女は今本番前でとてもナーバスになっています
- 部長にあんなナーバスな面があったなんて知らなかったよ
ナーバスには、「神経の」「神経から成る」「神経作用による」という意味があります。精神的な感覚の一面だけを表すのではなく、体の機能としての「神経」そのものから派生し生まれた意味を持つ言葉といえます。
「センシティブ」の関連語
センシティブ情報
「センシティブ情報」とは、個人の思想・信条や国家機密など、きわめて慎重に取り扱うべき情報のことをいいます。
【使用例】
- SNSの普及でセンシティブ情報の漏洩事件が増えました
- 本籍地や前科や医療や性生活もセンシティブ情報です
- お客様のセンシティブ情報は決して外部に漏らしてはいけません
「ケース・センシティブ」と「ケース・インセンシティブ」
ケース・センシティブとは、コンピューター分野における用語です(IT用語)。「文字列の大文字と小文字を区別すること」をケース・センシティブ(case-sensitive)といい、「文字列の大文字と小文字を区別しないこと」をケース・インセンシティブ(case-insensitive)といいます。
要するに、文字を入力する際に「A」と「a」を区別(識別)するかしないかということです。一般的に「パスワード」はケース・センシティブになります。
例えば「SensitiVe」というパスワードだった場合、「sensitive」では認可されませんね。大文字と小文字の区別をしていることになります。
ケース・インセンシティブは、検索エンジンが代表例です。大文字も小文字関係なく入力することができて、検索についての差も生じることはありません。
「センシティブ」の様々な英語表現
- sensitive microphone (感度の良いマイク)
- sensitive market (不安定な市況)
- sensitive actor (繊細な演技をする俳優)
- sensitive skin (敏感肌)
- sensitive poet (感性豊かな詩人)
- sensitive data (極秘データ)
- Let's not be too sensitive (あまり神経質にならないようにしましょうね)